- 推拿基本手技
- 第Ⅰ章 推拿の歴史
- 第Ⅱ章 推拿とは
- 第Ⅲ章推拿の手技
- 1.推法(すいほう)
- 2.拿法(なほう)
- 3.按法(あんぽう)
- 4.摩法(まほう)
- 5.揉法(じゅうほう)
- 6.点法(てんほう)
- 7.圧法(あっぽう)
- 8.捏法(ねつほう)
- 9.擦法(さっぽう)
- 10.搓法(さほう)
- 11.滾法(こんぽう)
- 12.抖 法 (とうほう)
- 13.振 法 (しんぽう)
- 14.揺法(ようほう)
- 15.抜伸法 (ばっしんぽう)
- 16.一指禅法 (いっしぜんほう)
- 17.十字托法 (じゅうじたっぽう)
- 18.抹法(まっぽう)
- 19.扳 法 (ばんほう)
- 20.搯 法 (とうほう)
- 21.撥 法 (はつほう)
- 22.捶法(すいほう)
- 23.拍法(はくほう)
- 24.叩 法 (こうほう)
- 25.撃 法 (げきほう)
- 26.弾法(だんほう)
- 27.屈 法 (くっぽう)
- 第Ⅳ章 推拿の手順 ~症状別手技の用い方~
- 第Ⅴ章経筋療法について
- 第Ⅵ章 捏法と他の手技を併せた手技
- 第7章捏脊法の手技
- 第Ⅷ章 気について
- 推拿基本手技
- 第Ⅰ章 推拿の歴史
- 第Ⅱ章 推拿とは
- 第Ⅲ章推拿の手技
- 1.推法(すいほう)
- 2.拿法(なほう)
- 3.按法(あんぽう)
- 4.摩法(まほう)
- 5.揉法(じゅうほう)
- 6.点法(てんほう)
- 7.圧法(あっぽう)
- 8.捏法(ねつほう)
- 9.擦法(さっぽう)
- 10.搓法(さほう)
- 11.滾法(こんぽう)
- 12.抖 法 (とうほう)
- 13.振 法 (しんぽう)
- 14.揺法(ようほう)
- 15.抜伸法 (ばっしんぽう)
- 16.一指禅法 (いっしぜんほう)
- 17.十字托法 (じゅうじたっぽう)
- 18.抹法(まっぽう)
- 19.扳 法 (ばんほう)
- 20.搯 法 (とうほう)
- 21.撥 法 (はつほう)
- 22.捶法(すいほう)
- 23.拍法(はくほう)
- 24.叩 法 (こうほう)
- 25.撃 法 (げきほう)
- 26.弾法(だんほう)
- 27.屈 法 (くっぽう)
- 第Ⅳ章 推拿の手順 ~症状別手技の用い方~
- 第Ⅴ章経筋療法について
- 第Ⅵ章 捏法と他の手技を併せた手技
- 第7章捏脊法の手技
- 第Ⅷ章 気について
推拿基本手技
第Ⅰ章 推拿の歴史
1.推拿の起源
推拿は中国の様々な手技療法の中で、最も古い起源をもつものだといわれています。その理由は、推拿は人間に生まれながらにして備わる本能的な動作から生まれた療法だからです。
例えば、人間は硬い物に体をぶつけた時、思わず痛い箇所をさすります。頭痛や歯痛、肩こりなどの箇所をおさえたりします。それは意識的ではなく、無意識のうちに行われる動作、つまり本能に基づいた動作です。そして、その動作を繰り返しているうちに、痛い箇所をさすると痛みが和らぐことを経験的に理解するようになりました。ですから、自分の子供が転んで体のどこかをぶつけた時にも、その痛い箇所をさすってあげたりします。

このように、手で抑えたり押したり揉んだりすることで、肉体の苦痛を和らげることができることを体験してきたのです。これが手当の始まりなのです。
こうして、本能的な動作に始まり、長い年月の間、様々な体験を積み重ね、人々の経験の中から普遍的な要素をまとめ、治療法として確立していったのが推拿なのです。ですから、推拿の起源は中国大陸における人間の歴史と共に始まり、共に歩んできたのです。
推拿が本能的な動作から枝分かれして、医学的な治療法に発展していった年代をはっきり特定することはできませんが、今から3000年以上前、殷の時代(紀元前1751~1050年)には、すでに初歩的な推拿の治療が始まっていたことが、遺跡の象形文字によって明らかになっています。
2.椎拿の発展の歴史
推拿が治療法として盛んに行われるようになったのは、春秋戦国時代(紀元前722~221年)頃と言われています。秦から漢の時代(紀元前221~紀元後200年)になると、推拿はさらに普及し、その記録がはっきりと文書に記録されるようになりました。現存する中国最古の医学書である「黄帝内経・素門」の中にも、推拿療法について書かれています。この頃に、「黄帝岐伯按摩十巻」という推拿の本が書かれたようですが、戦火によって消失し、現存していません。
魏の時代(220~265年)になると、皇帝のための病院に按摩科が設けられ、唐の時代(618~907年)になると、「太医署」と呼ばれる中医師を養成する学校ができました。太医署は、①医科、②鍼科、③推拿科、④祝由科(精神・心理)の4科から成り、この時代は整形外科や整骨も推拿科に含まれていました。

日本にはこの頃、「按摩」が伝来したと言われます。701年に、日本最初の法律である「大宝律令」が出来ましたが、その中に按摩の記述があります。
宋、金、元の時代(960~1368年)には、推拿は婦人科の治療にも応用され、明の時代(1368~1644年)には、小児科治療にも用いられました。
新中国建国後、中国政府は中国の伝統医学を尊重し、積極的に中医師を育成する政策を始めました。それは、西洋医学と中医学の医師が交流し、相互の良い面を取り入れ、全体として医学を進歩させようという「中西医結合」と呼ばれる政策でした。各地の中医学院に鍼灸・推拿科が設立され、西洋医学の医師は推拿療法を勉強し、中医師は西洋医学を学ぶようになりました。両者が互いに研究・協力し、推拿の手法を開発することも試みられ、推拿は急速に進歩しました。
このような積極的な試みが功を奏して、いまだかつてないほど推拿の研究が盛んになり、新しい手技が次々に開発されただけでなく、頚椎病、椎間板ヘルニアの治療に推拿が用いられるなど、治療の適応範囲も拡大してきました。
例えば、画期的なものの代表は推拿麻酔です。これは点穴による麻酔で、主に歯科で抜歯に用いられてますが、患者にはほどんど痛みを感じさせず、抜歯ができるため、麻酔薬を注射するのと変わらない効果をあげ、医学界の注目を集めているのです。
第Ⅱ章 推拿とは
推拿は、正式には「推拿学」、または「推拿療法」と呼ばれ、中国の各中医学院では推拿学が正式の名称として使われています。
推拿という呼称は、読んで字の如く「推法」と「拿法」という手法から生まれた名前です。推拿のそれぞれの漢字の部首には手が含まれるように、推拿は基本的に手技だけで病気を治す治療法なのです。
手技だけで行うために、手法の選択が推拿の治療には重要なポイントとなります。その症状に適合した手法を選べるかどうかが、効果を生み出すかどうかの分かれ目になります。
また、さらに大切なことは、手法の操作順序、いわゆる手順です。手順が適切でなければ、効果も半減してしまいます。
もう1つ大切なことは、症状に応じた経脈(経穴や経筋)の選択です。もちろん、手法や経脈経穴を選ぶ際に、間違った選択をしないためには、四診法を中心にした適切な診断が必要です。正確な症状の把握が必要です。また施術にたずさわる人の正気、いわゆる未病の発見や症状を緩和させようとする意欲や気力、そして技術の熟練によっても施術効果は大きく変わります。
1.手法の手順
推拿は長い歴史の中で育まれてきた伝統的な治療法であるだけに、たくさんの流派があります。それは、推拿の各流派が競って手法を開拓したためで、伝承された手技には実に多くの技法があります。
推拿の手法の中でも、このテキストでは、捏法の効果的手法である捏脊法を中心に学びます。倪少魯先生は、捏脊八法として「捏・拿・推・捻・揉・放・提・按」を上げています。「捏脊法は督脈に働きかけ、それが十二経脈に響き、そして全身の気血を正す」と述べています。
はじめて推拿を学ぶ人が、一気にすべての手法をマスターしようとしても、非常に難しく、また、手技だけをマスターしようとするのは、あまり実用的ではありません。推拿の手法は1つの症状に1つの手技を使えば足りるような簡単なものではなく、症状によっては数多くの手技を組み合わせた手法を用いることもあるからです。
そこで一つずつの手技よりも、いくつもの手法の組み合わせ方とその手順が重要になってきます。その手順が合理的であるかどうかが、施術の効果を決めます。ですから、一つずつの手技を練習したら、一定の順序で手法を組み合わせた基本的な操作手順を繰り返し練習することが大切になってきます。
2.圧痛点と潜在的圧痛点
施術をする際、手技を施す箇所は、痛みを感じている部位、または経穴や経脈上です。その痛みを感じる箇所を「圧痛点」と言います。
施術を始めるにあたり大切なことは圧痛点を探し出すことです。腰、肩などの広い部位で考えるのではなく、痛みの周辺をこと細かくチェックし、圧痛点の中心を探します。
圧痛点を探し当てたら、その圧痛点に気を入れていきます。気を高めるトレーニング法は日頃から行わなければなりません。
圧痛点に適度な力を加えて押し、相手の体から気が反応してくるのを感じ取り、数分経過した後で施術を始めます。
この時、力まかせに押してはいけません。時々、力を入れれば入れるほど効き目があると思いこんでいる人がいるようですが、これは間違いです。

痛みの箇所に、力を入れてさらに痛みを増すような施術は危険です。痛みを感じさせないように、また、施術しているうちに、痛みの箇所が温かくなり、そして、痛みがやわらいでくる、これが椎拿の特徴なのです。
施術の効果があらわれ、痛みが緩和してきたら、次に圧痛点の底のほうまで浸透するように手技を繰り返し、同時に圧痛点の周囲の経筋にアプローチしていきます。
圧痛点のほかに、「潜在的圧痛点」があります。
これは、まだ痛みを感じてないが、近いうちに痛みが発生すると予想できる点が潜んでいるということです。東洋医学では、「未病を治す」医師が良医と言われます。
未病とは、発病する前の段階にある潜在的病のことで、これを発見し、未然に発病を防ぐことが重要なのです。
未病を早めに治療すると、病気の予防になるため、現代推拿学ではとくに潜在的圧痛点の発見に重きを置いています。
3.施術効果と得気
中医学では、人間は本来、バランスのとれた生理機能をそなえた整体であると考えます。そのバランスが崩れた時、たとえば体内の陰と陽のバランスが崩れたり、気血の流れが滞ると病気になると考えています。また、怪我をして体の一部に損傷を受けると、気や血も損傷を受け、内臓にもその損傷は及んでいくと考えています。
例をあげれば、腰を損傷することによって、便秘になったり、不眠症になるケースです。ですから、施術を行う際に、その部位に手技を施すだけでなく、気の通り道である経脈や経筋、気の集まる経穴に手技を施し、経脈の流れを正すことが大切です。経脈に正気が通ると、体は元のバランスのとれた整体にも戻ろうとし、根本的に病気を治していくのが東洋医学の神髄です。
経脈の通りを良くするため、経穴に手技を用いるわけですが、その時に相手が気を
得られなければなりません。気を得ることを「得気」と言います。
得気は、「ひびき」とも言われ、施術者の手が正しく経穴に当てられ、手技が経穴の内部に達した時に、相手が感じる気のことです。これは施術者の手技に、相手の体の一部または全体が生埋的な反応を起こすことです。

得気は、①だるいような感覚、②しびれるような感覚や電流が流れるような感覚、③涼しい感覚、④熱い感覚、⑤はれぼったい感覚の5種類です。
この5種類の感覚を相手側が全て感じるということではありません時には一つ時には順に感じたり、幾つかの感覚が重なり合って表れることもあります。
経穴によって、また選んだ手法によって、得気の感覚は微妙に違ってくるので、5種類の感覚のうち1つでも感じれば、気を得たと判断します。
得気の判定は、上記の5種に縛られることなく、相手側の反応をしっかり見極めながら施術を行い、得気がなければ手技の効果がないので、ただちに手技を中止すべきです。推拿は相手の体の自然治癒能力を引き出して未病や病に対処する手技療法なので、施術者の手技と相手の身体が呼応し合うことが必要です。言い換えれば、推拿は施術者の手技と相手の身体の生理反応との「無言の対話」なのです。その対話の始まりが得気なのですから、得気なしに手技を用いることは、対話が成り立ってないのに一方的に手技を行っているにすぎません。対話のない手技は、相手の身体に無意味な刺激を与えるだけでしかなく、逆に症状が悪化することさえあるのです。
4.黄帝内経こうていだいけいについて
「黄帝内経」は、人も自然界の中の一つの構成物として捉え、自然界の一切の変化は全て人体に影響を及ぼすことを理論的に体系化しました。人体の生理、病理の変化を知るには、人体を構成する各器官・機能の相互の関わりを元に、人体を全体として診るとともに、季節や地域などの自然環境にも注意して診なければならないとしています。
「霊枢・邪客篇」に「人与天相応也」とありますが、これは「人も天も相い応じる」という意味で、人間と自然環境との相関を説いています。
「素問・生気通天論」では「陽気者、一日且主外。平旦人気生、日中且陽気隆。日西且陽気己虚、気門乃閉」とあり、これは「陽気の者は一日中外を主とする。朝から陽気が上昇し、日中は陽気が興隆する。日が西に傾くと陽気は虚になり、気門は閉じる」という意味で、陽気を例として一日の時間の流れ、太陽との関係を説いています。
陽があれば陰があるわけで、陰陽は事物を概括する二種の属性であるとしています。古代中国の人々が、気の遠くなるほど長い歴史の中で体験的に培ってきた考えなのです。自然界の事物の変化は陰陽の対立と統一の両面を備えているという自然哲学でもあるのです。

また、事物の発生や成長も、生老病死も陰陽の変化によって成り立つわけです。ですから、陰陽論は、人体の病理にも用いることができ、診断や治療などに活かされ、推拿療法の基本的原則に陰陽論の理論があるのです。陰陽論については、東洋医学Ⅰのテキストを参照して下さい。
陰陽論と共に重要な基礎理論として五行論があります。五行論は、古代中国の人々が日常生活に密着した物質として「木火土金水」の五つ(五材)をあげ、この五材はそれぞれの間に相互援助と相互制約が成り立つとしています。五材間に母子関係も存在します。万物の複雑な変化に対し、五材を当てはめて規則性を持たせて解明しています。

黄帝内経では、五行の相生・相克の法則を運用し、人体各部の関連と、人体と自然環境との関係を説いています。生理の面では、五行を「五臓・五腑」に配当しています。木は肝胆、火は心小腸、土は脾胃、金は肺大腸、水は腎膀胱です。臓腑のそれぞれが、援助し合い、制約し合いながら機能すると説いています。病理の面では、五行が「生・克・乗・侮」の法則で疾病と関わることを説いています。
治療の面では、五行の「相生・相克」の関係で弁証し、治療法を確定する「弁証論治」を説いています「虚則補其母、実則瀉其子」とあるように「虚であればその母を補い、実であればその子を瀉する」ことが五行論の施術原則なのです。
5.施術者の気
施術者のメンタルな部分は施術にとって重要な意味があります。
中医師の先生方は「以医者的正気、攻患者的邪気」と言います。これは「医者の正気を以って、患者の邪気を攻めよ」という意味です。
施術者の精神的な要素として、中医学では「心・意・気」をあげています。
「心」とは、精神の集中です。
「意」とは、意識です。
快方へのイメージを持つことです。
「気」とは、経脈を流れる気です。
施術者は、精神を集中し気を高め、その気を自分の手に集め、集めた気を圧痛点や経穴に送り込み、快方への意識を高めなければなりません。

不調を訴える人は、経脈の気の流れが滞り、経穴の気が不足しています。痛みの中心となる圧痛点では、気の不足か乱れがあります。
推拿療法は、推拿手法によって気を調節する方法であり、陰陽・五行などの理論に基づいた施術法です心・意・気を用いず得気を行わずむやみに手技を施しても表にしか届かず裏に達せず、効果も得られず、逆に、相手の皮膚、筋、関節、内臓に損傷を与えてしまうこともあるのです。
施術者の心・意・気を高めるために日頃からトレーニングを行う必要がありますまた、心・意・気は健康な体に宿ります。施術者の日常生活や食生活のありかたも重要な要素です。
6.八綱弁証と論治
中医学の診断法に八綱弁証があります。八綱とは、陰陽論に基づき身体の状態の「病位・病状・病勢」を分類することです。四診法で、病位の深浅を「表裏」に、疾病の性質である病状を「寒熱」に、正邪の盛衰である病勢を「虚実」に分類します。
証とは、字の如く証拠とか証明です。弁証とは、四診法によって導き出された情報を分析し証を判断することを言います。八綱弁証のほか、中医学では、病邪弁証、気血弁証、臓腑弁証、経絡弁証、六経弁証、衛気営血弁証があります。

弁証が決まると、論治がそれに対応します。論治とは、施治とも言われ、治療原則である「治則」と、治療方法である「治法」に基づき、推拿手法を施す「配穴」や手順を決めていきます。
- 寒証(冷証)の例
寒証は、身体の寒熱のバランスが崩れ、寒(冷)に偏っているので、陽気を補う必要があります。寒証には「温法」を施します。温法は、ゆっくり優しく、暖めるように行います。手順は、末梢から四肢を経て根幹へと方向性を保ち施術します。四肢には擦法(指擦法・掌擦法、体幹には摩法を用います。 - 実証の例
実証は、身体の虚実のバランスが崩れ、気の通りが悪く痛みがあったり、気の流れが停滞しているので、気血の通りを良くする必要があります。実証には「通法」を、施します。通法は、経脈や血管の流れに沿って、始めは末梢から根幹へ、終わりは根幹から末梢へと方向性を保ちます。摩法、推法・捏法を順に用い、経脈や血管を刺激し気血の通りをよくします。 - 陰証の例
陰証は、陰陽のバランスが崩れ、気が不足しています。陰証には「補法」を施し、ます。補法は、ゆっくりと右に回転する方向性を保ちます。摩法や擦法を用い、気を補います。 - 虚証の例
虚証は、よくない気が溜まっていたり、病いの気が侵入しています。便秘などは代表的な例です。虚証には「瀉法」を施します。瀉法は、強めに、速めに行います。摩法・捏法を用い、気を排出させます。
第Ⅲ章推拿の手技
1.推法(すいほう)

推法とは、指・手掌・肘頭で、経穴や患部を単一の方向に推し動かす手技です。単一の方向とは、上から下へまたは左から右へと推し動かすことで、往復することではありません。
- 頭部への推法は頭痛・不眠症・高血圧症などの症状に用います。
- 下腿部への推法は肉離れなどの症状に用います。
- 推法は全身の各部位や経穴に適用します。
- 推法には、拇指推法(写真上)、全掌推法(写真下)のほか手根推法、拳推法、肘推法などがあります。
2.拿法(なほう)

拿法とは拇指とほかの四指で筋肉を掴み上げる手技です。頚椎症などの症状に常用され、頚部・肩部・四肢部に適用します。
- 筋腹や経穴を挟んで提拿します。
- 提拿する方向は筋腹に対して垂直です。縦走する筋腹を横向きに提拿し、横走する筋腹を縦向きに提拿します。
- 筋組織をもちあげた後、少し待ってから手をゆるめて元に戻します。
- 拿法は頚・肩・四肢部に用いられます。
- 拿法には、五指拿法(写真上)、四指拿法、三指拿法、二指拿法(写真下)、弾筋法があります。
※拿法を行った後は、強さを緩和させるため揉法や摩法を行い、整えます。
3.按法(あんぽう)

按とは圧抑することで、按法とは、手指・手掌・手根で経穴や患部に力を入れて押さえる手技です。
按法は推拿では最も古い手技の一つで「黄帝内経」には、按法についての記述が多くみられます。
按法は、動作が単純のわりに効果も高いため、施術に多用されています。
- 押さえる圧は、浅い時は皮肉に、深い時は骨格や関節、臓腑に及ぶように力を加減します。
- 押さえる方向は垂直で、力が徐々に軽から重へと変化させることが大切です。
- 得気を感じた後は、手技を持続させ、繰り返し継続させ、身体の深部に及ぶまで行います。
- 按法は全身各部位に用いられ、また殆どの症状に適用します。
- 按法には、拇指按法(写真上)、三指按法、手掌按法(写真中)、手根按法(写真下、按揉法な)どがあります。
4.摩法(まほう)

摩法とは、手指や手掌で経穴や患部の皮膚表面を回しながら摩擦する手技です。動作は、肘関節をやや屈曲し、手関節をリラックスし、手指や手掌を自然に伸ばし、軽く体表の局所に置き、前腕を連動してゆっくり回しながら摩擦します。
摩法は、胸・腹・脇肋部に適し、揉法・推法・按法と組み合わせ、損傷性の胸脇痛・便秘・下痢などに効果があります。
- 圧は弱く浅くを意識し、わずかに皮膚や皮下組織に達するよう加減します。
- 速度は1~2秒に1回で、痛みの局所や、強い手技を行った後に用います。
- 摩法には、拇指摩法、三指摩法、掌摩法(写真、手根摩法などがあります
5.揉法(じゅうほう)

揉法とは、拇指球・手根・手指の指腹面で経穴や患部の皮下組織を連動させて揉む手技です。
揉法は、わずかに皮下組織に作用させる程度と、深く筋肉にまで作用させる強さで行うことがあります。手技は、比較的優しく、痛みの部位や強い手技の後に用います。
- 用いる手を皮膚に密着させ、移動しないようにし、皮下組織を手で揉むように円を描きます。
- 揉法の刺激は緩和で、全身各部位に用います。
- 揉法には、拇指揉法(写真上、三指揉法、拇指)球揉法、手根揉法(写真下、按揉法などがあり)ます
6.点法(てんほう)

点法とは、手指や指角で経穴や患部に深く持続的に圧を加える手技で「指針法」とも呼ばれます。
点法は、全身の各部位に適用し、特に神経痛・関節痛・筋肉痛・胃痛などに効果があります。推法・揉法・按法などの手技と併用して使われます。
- 点法の刺激強度は強いのですが、施術する際には弱から徐々に強めて行きます。
- 刺激が表面から深部へ入るように意識して加圧します。
- 点法を経穴に用いると、相手の得気反応が顕著になります。
- 指端点法(写真上、屈指点法(写真下)などが)あります。
7.圧法(あっぽう)

圧とは圧抑の意味で、圧法とは、前腕・肘頭部で経穴や患部に力を入れて押さえる手技です。
この手技は按法と似ていますが、圧法の押さえる強さは、按法より強く行います。
圧法の動作は按法と同じでなので、同時に用いられ、按圧法とも呼ばれます。
圧法は、脊柱・四肢部に適用し、脊椎炎・肩凝り・腰痛などに効果があります。
8.捏法(ねつほう)

捏法とは、拇指と示指(写真上、または拇指・示)指・中指で、あるいは拇指と他の四指(写真中)を用いて、経穴や患部の皮膚や筋肉をつまむ手技です。
全身の皮膚組織に適用し、肩凝り・神経痛・栄養不良などに効果があります。
- 捏法は、拿法と似ていますが、拿法より弱い力で行います。
- 捏法の中でも、督脈に行う捏脊法(写真下)は十二経脈へと気を注ぎ、全身の筋や五臓五腑に効果的です。
夏治平先生指導
9.擦法(さっぽう)

擦法とは、手掌・拇指球・小指球(手刀)で経穴や患部を往復摩擦する手技です。擦法は全身の各部位に適用でき、神経痛・冷え症・筋肉の痙攣(けいれん・軟部組織損傷などに効果があります。
- 方向は上下左右すべて、直線方向に行います。
- 摩擦は距離を長く、間をあけません。
- スピードは1秒に1~2往復です。
- オイルを使うと皮膚を傷つけません。
- 擦法を行った局所に他の手技を用いません。
- 掌擦法(写真上)、四指擦法(写真下、拇指擦)法、小指球擦法などがあります。
10.搓法(さほう)

搓法とは、両手掌を向き合わせて、受者の肢体を挟んで速くこすり揉む手技です。
搓法は、筋肉や骨格にまで達し、主に肩・上肢・脇部に適用し、施術の仕上段階で用います。
肩部や上肢部軟部組織損傷・高血圧症などに効果があります。
- 搓法の速度は、始めはゆっくりと、徐々に速さを上げ、終了時にはまたゆっくりと行います。

11.滾法(こんぽう)

滾法は、手背の小指に近い部分または中指・薬指・小指の中手指節関節の甲側の突起部分で、経穴や患部に手関節の屈伸外転による連続運動で手背部をころがすように行う手技です。
肩こり・腰痛などに適し、肩背部・背部・腰部・臀部・四肢部など筋肉と軟部組織が豊富で面積の広い部分や曲線部に用います。
- 手の力を抜いて軽く握るようにします。
- 手背の小指に近い部分または中・薬・小指の中手指節関節の背側の突起部分を皮膚に当てます。
- 力を入れて押さえ、前へころがしながら手背の力を施術部位に作用させます。

12.抖 法 (とうほう)

抖法は、手足の末端を握り、柔らかい力で小さく速く連続的に揺り動かす手技です。四肢の関節活動機能障害などに用います。

13.振 法 (しんぽう)

振法は、指の先端や手掌を経穴や患部にぴったりと押しつけ、細かく、素早く、連続的に振動を与えたり、手足の末端を握り細かく連続的に振り動かす手技です。疼痛などの症状や関節の調整に適し、頭部・顔面部・胸腹部・四肢部に用います
- 振法は、指先に心・意・気を集中し、力を持続的に指や手掌に集中させることによってより細かな振動を生み出します。
- 振動は1秒間に10回を目指します。
- 指振法(写真上)、掌振法(写真下)があります。
14.揺法(ようほう)

揺法は、関節部を大きくゆっくりと揺り動かしたり、回したりする手技です。
各関節の活動機能障害・関節や筋の癒着や拘縮などの施術に適し、頚部・肩部・四肢部に用います。
- 揺法は、穏やかに、ゆっくりと行います。
- 揺り幅は小から大へと変え、関節の可動域の最大限にまでせまることがポイントです。

15.抜伸法 (ばっしんぽう)

抜伸法とは、四肢・体幹の一端を固定しながら、ほかの一端を牽引・伸展する手技です。
関節の可動域を増大させることができるため、骨折や脱臼のリハビリや、軟部組織の損傷・関節の拘縮などの施術に適し、脊柱や四肢部の諸関節に用います。
- 持続して同じ力で行います。
- 急に力を入れたり、反動をつけてはいけません。


16.一指禅法 (いっしぜんほう)

一指禅法は、親指をツボや患部に当て、連続的に手関節を左右に揺らし回旋させる手技です。皮膚との接点が小さいので圧がかかりやすく、おだやかで持続的な刺激を与えることができ、徐々にじわっと体内に浸透していきます。
頭痛・下痢・便秘・胃痛などに効果があり、全身の各部位と経穴に用います。
17.十字托法 (じゅうじたっぽう)

十字托法は、両手を交差し前腕部分で患者の頭部を支え、両手で患者の肩を押さえながらゆっくりと患者の頭部を持ち上げて頚部を前屈させていく手技です。頚椎症などに用います。
18.抹法(まっぽう)

抹法は、指や手掌を経穴や患部位に当て均一な圧で往復することなく単一方向へ推しこする手技です。
頭痛・不眠症・高血圧症などに適し、頭部・顔面部・頚部・腕部に用います。

19.扳 法 (ばんほう)
20.搯 法 (とうほう)

搯法は、親指の爪を用いて経穴や患部を深く持続的に圧する手技です。
熱中症・昏睡・ショック・てんかんなど救急の場合に限り用います。
切法(せつほう)、爪法(そうほう)、指切法などがあります。
21.撥 法 (はつほう)

撥法は、手指で対象部位の前後をしっかりと掴み、筋肉を捻る手技です。
筋肉の痙攣、関節の拘縮などに適し、四肢部に用います。
22.捶法(すいほう)
捶法は、拳で経穴や患部を叩く手技です。捶法は、手技の強弱や遅速の違いによって異なる反応を示します。強く速く叩くと筋肉を興奮させ、弱く遅く叩くと筋肉を緩めます。全身疲労・腰痛などに効果的で、四肢部・脊柱部に用います。
23.拍法(はくほう)

拍法は、指や手掌、または手を合わせた手の甲側で経穴や患部を叩く手技です。
全身疲労・筋肉痛などに効果があり、筋肉が豊満な肩背部・脊柱部・臀部・大腿部に適用します。
24.叩 法 (こうほう)
叩法は、指の腹と先端に力を入れて経穴や患部を叩く手技です。叩法は、捶法や拍法に似ていますが、それらより力は弱くなります。頭部に適します。
25.撃 法 (げきほう)

撃法は、拳の甲や、手掌の小指側部(手刀)を用いて患部にやや強く叩く手技です。
撃法は、強い衝撃を与えるので局所には用いず筋肉が豊富な部位に用います。
筋肉痛などの症状に適し、肩背部・脊柱部・臀部・四肢部に用います。
拳背撃法(写真上)、手掌撃法(写真下)などがあります。
26.弾法(だんほう)

弾法は、指の腹や背で経穴や患部を弾き打つ手技です。
熱中症などに効果があり、頭部・顔面部・四肢関節部に用います。
27.屈 法 (くっぽう)

屈法は、関節の内側を固定し、ゆっくりと屈曲していく手技です。
関節の軟部組織の損傷や関節の拘縮などに用います。
第Ⅳ章 推拿の手順 ~症状別手技の用い方~
1.頭痛

症例
- 夜仕事していると頭痛がひどい。
- 左側が重たく感じる。
手順①
頭部の経穴である百会、四神聡、卒谷、などに按揉法を施す。(写真上)
手順②
目の周辺の経穴、晴明、承泣、球後、四白、瞳子、攅竹、魚腰、糸竹空、陽白、太陽に按揉法を施す。(写真下)
手順③
後頭部の経穴、天柱、風池、完骨、翳風などに按揉法を施します。
手順④
首・肩周辺に滾法、按法、推法を施します。
2.頸部痛

症例
- 首周辺が重くて痛い。
- 半年以上続いている。
手順 ①
首・肩周辺の筋に一指禅法、按揉法、滾法、拿法(写真上)を施します。
手順②
首関節を揺法(写真下)で八の字を描くように右回転左回転とゆっくり回す。
手順③
捏脊法を行い摩法で頸椎を調節します。
3.五十肩

症例
- 腕を肩より上に挙上できない。
- 腕を回すと痛い。
手順 ①
気血の巡りを良くするために背中と下半身を按揉法、滾法、推法などで緩める。
手順②
局所部分である肩関節まわりを按揉法、 滾法(写真上)、推法で緩める。
手順③
腕を持ち、揺肩法(写真下)で肩関節の 回転を数回続ける。
手順④
推法で筋を落ち着かせる。
4.手の痺れ

症例
- 右手が痺れる。
- 特に小指が痺れる。
手順 ①
頚椎周辺筋・肩・肩関節・肩先と上腕の間の腋窩・肘関節を一指禅法、按揉法、 滾法、拿法を用い緩める。
手順②
小指側の神経に繋がる頚椎の第6番・7番と胸椎の第1番・2番は按揉法で入念に緩める。(写真上)
手順③
腕を持ち揺肩法で肩関節の回転を数回続ける。(写真下)
5.腰痛

症例
- 腰がだるく、痛みも感じる。
- 半年以上辛い。
手順 ①
首・肩周辺、背部、臀部、下肢を按法、 按揉法、滾法、推法などで緩める。
手順②
局所部分である腰周辺を按揉法、滾法、 擦法で充分に緩める。
手順③
扳腰法(写真)で腰椎を調整する。
6.膝痛

症例
- 膝が痛くて屈伸ができない。
- 歩くことも事も困難。
手順 ①
背中・腰・足首関節のまわりを滾法、推法、按法を施す。
手順②
膝関節、特に膝裏は揉法を入念に行う。
7.下腿痙攣

症例
- 睡眠中、左足にこむら返りが起きる。
手順 ①
腰・仙骨・膝の裏側・足首まわりの筋肉と腱・靭帯を重点的に按揉法、滾法、推法で緩める。
手順②
屈法(写真)でアキレス腱や腓腹筋、ヒラメ筋を伸展し、推法で筋を鎮める。
8.足のむくみ

症例
- ブーツが履けないくらい足が浮腫む。
手順 ①
背部を按法揉法滾法で充分に緩める。
手順②
下退部を按法拿法写真揉法滾法推法で、足が軽く感じるまで緩める。
手順③
腹部を一指禅法、摩法で緩める。
第Ⅴ章経筋療法について
中医学では、気の通り道を経脈、気の出入り口を経穴とします。経脈、経穴が体の表面、皮膚にあるのに対して、経筋は皮下で筋肉に近いところにあります。
推拿療法では、この経脈と経穴を手技をもって刺激し、緩め、調整することで効果を得えます。経脈は身体の正中線に任脈と督脈が走り、左右それぞれに12の経脈が走り内臓に繋がります。しかし、経筋は、内臓と直接繋がるわけではありません。骨格や四肢の筋、または内臓の筋に繋がっています。
筋肉の凝り、筋が固いのは多くの場合、経筋の調整が必要です。経筋を緩めることにより、肩凝りや腰痛などが緩和され、体が軽く感じるようになります。

滾法と共に、推拿の重要手法に揉法があります。摩法が体の表面、皮膚を刺激する のに対して揉法は皮下組織である経筋を刺激します。
滾法と揉法を組み合わせて経筋を緩めることで、体の緊張を取り除き、五臓五腑の の調整を行い、健康を増進していくのが中国での保健推拿法の基本です。
経筋については、「推拿手技療法3 経筋捏法」を参照して下さい。
第Ⅵ章 捏法と他の手技を併せた手技
1.把握揉捏法
把握揉捏は、捏法と拿法を併せた手技です。皮下組織あるいは筋肉を上提・牽拉することです。刺激が強いので、回数を少なくします。
手で筋や腱を掴み、緩めたりつまんだりを交替しながら提捏する手技です。
母指と四指を用いて提捏し、緩めるときには筋肉が手指から離れてないようにします。片手または両手で操作します。把握揉捏法の刺激は強いので、始めは軽く次第に重くし、同じ部位に5~10回程度します。
| 作用 | ●解表発汗・・・発汗させて頭痛発熱を解く ●疏通経絡・・・経絡を疎通させる ●解痙止痛・・・痙攣を解いて痛みを止める ●提神開竅・・・精神を興奮させ意識をはっきりさせる |
2.擰法とうほう
檸法は、母指と示指または示指と中指の中節関節で皮層を挟み、反復して上提する手技です(檸の漢字は本来中国語で手偏にウ冠の丁と書きます)。
檸法は、皮下組織を挟むだけで、筋肉は挟みません。檸法は頚、胸、背、腹の経穴あるいは患部に用い、皮膚が充血するまで行います。
| 作用 | ●感冒、めまい、頭痛及び胃腸の機能失調を解く ●小児の感冒発熱、食積停滞(消化不良)を解く |
3.弾筋法
弾筋法は、把握揉捏法の手の構えで筋や筋腱を掴み、上提する過程で筋や腱を素早く離す手技です。肩甲骨の脊柱縁の筋肉、腋窩の前・後縁の筋肉、及び全身各部の広く大きく浅表の筋や筋に用います。同じ部位に対しては2~5回行います。
| 作用 | ●解痙鎮痛・・・痙攣を解いて痛みを鎮める ●解表発汗・・・発汗させて頭痛発熱を解く |
第7章捏脊法の手技
1.捏脊法とは
捏脊法は、両手を脊柱の両傍において皮層を提起して、牽拉と捏推を行う一種の複合手法で、脊柱に沿って用いるため捏脊と呼ばれます。
捏脊は、正手捏、反手捏、側手捏の三手技があります。
2.捏脊法の作用
- 健脾・・・・・胃腸を健やかにする
- 止瀉・・・・・下痢を止める
- 清熱安神・・・熱をさまして精神を鎮める
- 止咳化痰・・・咳を止めて痰をなくする
- 中国の病院では、小児の消化器と呼吸器系統の疾病に多く用いられるほか、成人の神経衰弱及び消化不良、婦人の疾患に用いられます。
3.正手捏法(母指上)

母指を前上にし、示指は後下にして皮下組織を挟む手技です。
①両手は軽く握り、示指の基節骨(中節骨も可)の背面を皮膚に付け、母指と示指を用いて皮層を提捏します。
②左右に分かれて腰仙部の脊柱の両傍から開始します。
③左手で先ず皮層を提起し、後に向けて牽拉しながら揉捏します。
④右手は皮膚を離れて、母指は前に向かって伸び、示指の着点は前に向かって滑り移り、母指と示指で再び皮層を提起し、後に向けて牽拉しながら揉捏します。
⑤左手は皮層を離れて、先の右手の動作と同じように前に向かって滑り移り、皮膚を提捏します。
⑥このようにして左右交替しながら進行し、第一胸椎まで行います。
⑦この操作を3~5回行います。
- 圧痛点が、腎兪、脾兪、胃兪、肺兪穴にあれば、さらにドウ法(弾皮法、揉捏を)1~2行程行います。
- 実熱症には、捏三提一法を用い、これは、三回摘む毎に弾皮を一回し、第一胸椎から腰仙部へ、上から下への捏背法を行います。
4.反手捏法(母指下)

四指を前上にし、母指は後下にして皮下組織を挟む捏脊法です
①両手を並列して、四指は屈曲して、掌は下に向け、母指は伸ばします。
②母指の先端と示指・中指・薬指の三指で正手捏法の同様の動作をします。
③操作方法とその線路は正手捏法と同じです。
5.反手捏法(母指下)

母指と示指(または四指)を脊柱の両傍において平行した位置で皮下組織を挟む捏脊法です。片手でも両手でも行えます(写真は見やすいように片手)
①両手を並列して、掌心を術者の方に向けて、示指の中節骨(または指節間関節)の橈側縁と母指端で皮層を挟み提捏します。
②手を緩めたときに、手を前に向けて滑り移し、再び提捏します。
③両手交替にあるいは同時に操作します。
④操作する線路と回数は正手捏と同じです。
第Ⅷ章 気について
手掌の中心部に労宮という経穴があります。この経穴を、反対の手の親指でよく揉みます。両手を擦り合わせてから労宮に反対の手の指先を近ずけて見ます。指先を動かすと微妙な感じがあります。
手が敏感になってくると、植物や人体などに手を近づけると、いろいろな感覚がでてきます。
花からは安らぎを、木の幹からは安心感を、朝の太陽からは元気を感じます。色々なものに手を当てて感じてみてください。
トレーニングを積むと、敏感になってきた手で相手の不調も分かります。例えば、相手に触れたとたんお腹が気持ち悪くなる、胃がだるくなる、頭が重くなるなどの感じを受けることもできます。
その時、相手は、胃腸の調子が悪かったり、風邪の前兆だったりします。相手に聞いてみると良いでしょう。
気を高めるためのトレーニングには様々な方法があります。気功、太極拳、メンタルトレーニング、などなど。このテキストの冒頭で述べましたが、心・意・気は施術者にとって重要です。得気を感じ取ることも重要です。
自分の気を意識し、相手を四診法などで診断してみて、その結果と自分の感じた気。、、との整合性を確認してみて下さい自身の気が高まると施術の効果も倍増しますしなにより自身が健康になります。

