経穴経脈順

経穴経脈順

目次

手の厥陰肺経

肺は気(呼吸)をつかさどる

は「相傅そうふの官」と呼ばれ、君主である心を補佐する役割を担う。呼吸作用により、大気中の
清らかな気(清気、天空の気)を体に吸い込だくきみ、汚れた気(濁気)を外に出すとされる。

肺は宣発せんぱつ粛降しゅくこうをつかさどる

宣発は、上に広げる意味であり、気を拡散させて、全身に行きわたらせる働きがある。この機能により体内の濁気は、上方へ、外側へと運ばれていき、最終的に吐き出される。
粛降は逆に、下に降ろすことである。大気から清らか気を吸いこみ、体内に降ろす。これにより、清気、津液しんえき、栄養分が体の下の方に運ばれる。宣発と粛降により、体内の水分の働きも調節されている(通調水道つうちょうすいどう)。

病証

是動病:

胸の張り、咳嗽がいそう、鎖骨上窩の痛み、息切れ

所生病:

肺経の経脈上(上肢の前面外側)の痛み、知覚・運動障害、手掌のほてり、咳嗽、胸苦しさ、胸満(胸のふさがり)、喉の渇き

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
LU1 中府 ちゅうふ 前胸部、第1肋間と同じ高さ、鎖骨下窩の外側、前正中線の外方6寸。
注1:雲門(LU2)を取穴し、その下方1寸にある。注2:庫房(ST14)、彧中(KT26)、華蓋
(CV20)、中府(LU1)は第1肋間の高さに並ぶ
喘息、五十肩、気管支炎
LU2 雲門 うんもん 前胸部、鎖骨下窩の陥凹部、烏口突起の内方、前正中線の外方6寸
注1:上腕を抵抗に抗して屈曲、わずかに外転させ、鎖骨胸筋三角(鎖骨下窩)を確認すると、その中央にある。
注2:気戸(ST13)、兪府(KI27)、$7487$74A3(CV21)は
鎖骨下縁に並ぶ。
禁灸穴、上腕神経痛、五十肩、肩甲関節炎、上肢の挙上障害、上肢の麻痺、喘息、胸部の痛み、咳嗽、喘息、胸部苦満、疼痛、感冒、咽喉炎、頚腕神経障害、胸郭出口症候群
LU3 天府 てんぷ 上腕前外側、 上腕二頭筋外側縁、 腋窩横紋 前端の下方3寸。
注:腋窩横紋前端と尺沢 (LU5) を結ぶ線上で、
腋窩横紋前端から1/3にある。
禁灸穴、上腕神経痛、五十肩、肩甲関節炎
LU4 侠白 きょうはく 上腕前外側、 上腕二頭筋外側縁、腋窩横紋前端の下方4寸。 上腕神経痛、五十肩、肋間神経痛、心下部の痛み
LU5 尺沢 しゃくたく 肘前部、 肘窩横紋上、 上腕二頭筋腱外方の陥凹部。
注:肘を屈曲し、肘窩横紋上で曲池 (L11)と曲沢 (PC3)の間にある。尺沢 (LU5)
と曲沢 (PC3)
は上腕二頭筋腱の両側に位置する。
肺疾患、喘息、気管支炎、咽頭炎、咳、のどの痛み
LU6 孔最 こうさい 前腕前外側、尺沢(LU5)と太淵(LU9)を結ぶ線上、手関節掌側横紋の上方7寸。
注:尺沢(LU5)の下方5寸で、尺沢(LU5)と太淵
(LU9)を結ぶ線の中点の上方1寸にある。
痔痛、痔核、痔出血、肺疾患に反応を表す事有
LU7 列缺 れっけつ 前腕橈側、長母指外転筋と短母指伸筋腱の間、手関節掌側横紋の上方1.5寸。 扁桃腺炎、咽喉痛、拇指痛
LU8 経渠 けいきょ 前腕前外側、橈骨茎状突起と橈骨動脈の間、手関節掌側横紋の上方1寸。
注;太淵(LU9)の上方1寸。
扁桃腺炎または気管支炎による発熱
LU9 太淵 たいえん 手関節前外側、橈骨茎状突起と舟状骨の間、長母指外転筋腱の尺側陥凹部。
注:手関節掌側横紋の橈側、橈骨動脈上にある。
拇指痛、腕関節炎、低血圧、ノイローゼ、呼吸器疾患
LU10 魚際 ぎょさい 手掌、第1中手骨中点の橈側、赤白肉際。 禁灸穴
拇指痛、拇指の屈曲不能、眩暈、頭痛、心悸亢進症、胃腸や肝臓の調子を整える、手掌熱、咳嗽、喘息、発熱、無汗、咽喉炎、母指球筋の知覚$2022運動障害
LU11 少商 しょうしょう 母指、末節関節橈側、爪甲角の近位外方0.1寸 (指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点 禁灸穴、扁桃腺炎、咽頭炎、小児のひきつけ

手の太陰肺経

手の陽明大腸経

大腸は伝化をつかさどる

大腸は、「伝導の官」と呼ばれ、小腸により清濁に別けられた飲食物の残渣ざんさを受け取り、その中から水液(津液しんえき)を吸収し、糞便を形成し、大腸末端に伝送し、体外に排出する役割がある。

病証

是動病:

歯の痛み、頸や喉の腫れ・痛み

所生病:

眼が黄色くなる、口の渇き、鼻づまり、鼻血、喉の腫れ・痛み、大腸経の経脈上(上肢の後面外側)の痛み、知覚・運動障害、示指の痛み

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
LI1 商陽 しょうよう 示指、末節骨橈側、爪甲角の近位外方0.1寸(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。 橈骨神経痛、通風
LI2 二間 じかん 示指、第2中手指関節橈側の遠位陥凹部、赤白肉際。 子供の便秘、小児の疳の虫、小児のひきつけ、咽頭炎、扁桃炎、歯痛
LI3 三間 さんかん 手背、手首屈曲線上、拇指を上げるときに現れる腱の間第2中指関節橈側の近位陥凹部。 指の神経痛及び麻痺
LI4 合谷 ごうこく 手背、第2中手指骨中点の橈側。 眼疾患、動脈硬化による高血圧、拇指の腱鞘炎、扁桃腺炎、咽頭炎、歯痛、頭痛、疲れ目、手のしぴれ、腹痛、下痢、顔面の知覚・運動の諸疾患、咽喉炎、片麻痺、高血圧、じん麻疹、発熱、橈骨神経障害
LI5 陽谿 ようけい 手関節後外側、手関節背側横紋橈側、橈骨茎状突起の遠位、タバコ窩(橈骨小窩)の陥凹部。
注:タバコ窩(橈骨小窩)の陥凹部は長母指伸筋腱の間、母指を十分に外転・伸展するときにできる。
手根間接リウマチ、拇指痛、腱鞘炎
LI6 遍歴 へんれき 手首横紋拇指側より上へ3寸 腱鞘炎、拇指麻痺、歯痛、鼻出血
LI7 温溜1 おんりゅう
(おんる)
前腕後外側、陽谿(LI5)と曲池(LI11)を結ぶ線上、手関節背側横紋の上方5寸。WHO準拠 皮膚の腫瘍、虫垂炎、下歯痛、口内炎
LI7 温溜2 おんりゅう
(おんる)
澤田流両手を交差させ中指の当たる処橈骨前面 下歯痛、口内炎
LI8 下廉 げれん 前腕後外側、陽谿(LI5)と曲池(LI11)を結ぶ線上、肘窩横紋の下方4寸。
注:陽谿(LI5)と曲池(LI11)を結ぶ線上で、曲池 (LI11)から1/3、上廉(LI9)の下方1寸にある。
橈骨神経痛
LI9 上廉 じょうれん 前腕後外側、陽谿(LI5)と曲池(LI11)を結ぶ、肘窩横紋の下方3寸。 橈骨神経痛
LI10 手三里 てさんり 前腕後外側、陽谿(LI5)と曲池(LI11)を結ぶ、肘窩横紋の下方2寸。 腫物、中風、橈骨神経痛、脳貧血、蓄膿症、肥厚性鼻炎、頭痛、眩暈、肩こり
経穴名 読み 経穴の位置 経穴の効果
LI11 曲池 きょくち 肘外側、尺沢(LU5)と上腕骨外側上顆を結ぶ線上の中点。
注:肘を十分に屈曲したとき、肘窩横紋外端の陥凹部にある。
皮膚病、眼疾患(結膜炎、老眼、角膜炎など)、上肢の神経痛、または麻痺、下歯痛、頚腕・肘関節障害、橈骨神経障害、高血圧、生理痛、咽頭炎、片麻痺、じん麻疹、発熱
LI12 肘髎 ちゅうりょう 肘後外側、上腕骨外側上顆の上縁、外側顆上稜前縁 肘関節痛、腕神経痛、橈骨神経痛
LI13 手五里 てごり 上腕外側、曲池(LI11)と肩髃(LI15)を結ぶ線上、肘窩横紋の上方3寸。 禁鍼穴、肘関節痛、腕神経痛、橈骨神経痛
LI14 臂臑 ひじゅ 上腕外側、三角筋前縁、曲池(LI11)の上方7寸 上腕神経痛または麻痺、上肢挙上困難
LI15 肩髃 けんぐう 肩周囲部、肩峰外縁の前端と上腕骨大結節の間の陥凹部。
注:上腕を外転したとき、肩峰の前後に2つの陥凹部が現れる。肩髃(LI15)は、前の陥凹部にあり、後ろの陥凹部より深い。肩髃(TE14)は後ろの陥凹部にある。
皮膚病、五十肩、肩関節炎、中風、半身不随、腕神経痛、肘関節及び周囲軟部組織障害、頚部リンパ節腫脹
LI16 巨骨 ここつ 肩周囲部、鎖骨の肩峰端と肩甲棘の間の陥凹部。
注:棘上窩の外側、鎖骨と肩甲棘の間の陥凹部にある。
上腕神経痛、肩こり、歯痛、肩関節痛、上肢の痛み、肘関節及び周囲軟部組織障害、五十肩
LI17 天鼎 てんてい 前頸部、輪状軟骨と同じ高さ、教唆乳突筋の後縁。
注:扶突(LI18)の直下、水突(ST10)を同じ高さにある。
上肢麻痺、咽頭炎、喘息、寝違い
LI18 扶突 ふとつ 前頸部、甲状軟骨上縁と同じ高さ、教唆乳突筋の前縁と後縁の間。 上肢麻痺、喉頭炎、咽頭炎、喘息、寝違い
LI19 禾髎 かりょう 顔面部、人中溝中点と同じ高さ、鼻孔外縁の下方。
別説
顔面部、人中溝の上から1/3と同じ高さ、鼻孔外縁の下方。
注:水溝(GV26)の外方0.5寸にある。
上歯痛、顔面神経麻痺、三叉神経痛
LI20 迎香 げいこう 顔面部、鼻唇溝中、鼻翼外縁中点と同じ高さ。別説
顔面部、鼻唇溝中、鼻翼下縁の高さ。
禁灸穴、上歯痛、顔面神経麻痺、三叉神経痛、蓄膿症、肥厚性鼻炎、嗅覚麻痺

足の陽明胃経

胃は受納、腐熟、通降をつかさどる(水穀の海)

は脾と同じく倉廩そうりんの官」と呼ばれ、飲食物を受け入れて(受納)、それを消化(腐熟・熟成)し、小腸に降ろす(通降)役割を任う。
五臓六腑の活動源である水穀の精気(栄養)は必ず胃の消化作用を経て生成される。そのため、もし、胃の機能に異常が生じると、他の臓腑の働きに重大な影響を及ぼし、疾病を誘発する。

病証

是動病:

悪寒おかん欠伸あくびが多い、顔色が黒くなる、ひどくなると人や火を嫌い、木と木が打ち合う音を聞いても非常に驚き、ドキドキして、一人で部屋に閉じこもろうとする。それがさらにひどくなると高い所に登って歌を歌ったり、衣服を脱ぎ捨てて走ったりする。また、腹鳴、腹脹がある。

所生病:

鼻血、胃痛、口顔歪斜わいしゃ(顔面神経麻痺)、前頸部の腫れ、胃経の経脈上(胸腹部・単径部・下肢前面外側・足背部)の痛み、足の第2指(趾)の麻痺

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
ST1 承泣 しょうきゅう 顔面部、眼球と眼窩下縁の間、瞳孔線上。 禁鍼穴、眼疾患、涙目
ST2 四白 しはく 顔面部、眼窩下孔部。 眼疾患、顔面麻痺、上歯痛、三叉神経痛、口内炎
ST3 巨髎 こりょう 顔面部、瞳孔線上、鼻翼下縁と同じ高さ。
注:正視し、瞳孔の垂線と鼻翼下縁の水平線の交点にある。
上歯痛、蓄膿症、肥厚性鼻炎、三叉神経痛、顔面神経麻痺
ST4 地倉 ちそう 顔面部、甲角の外方0.4寸(指寸)。
注:甲角の外方、鼻唇溝あるいは鼻唇溝の延長線上にある。
三叉神経痛、顔面神経麻痺
ST5 大迎 だいげい 足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部。 下歯痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺
ST6 頬車 きょうしゃ 顔面部、下顎角の前上方1横指(中指)。
注:下顎角の斜め上方、口を閉じて噛むと咬筋が隆起し、力を抜くと陥凹するところにある。
下歯痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺
ST7 下関 げかん 顔面部、頬骨弓の下縁中点と下顎切痕の間の陥凹部。
注:口を閉じ、頬骨弓下方の陥凹部、上関(GB3)の真下にある。
禁灸穴、歯痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺
ST8 頭維 ずい 頭部、額角髪際の直上0.5寸、正中線の外方4.5寸。 禁灸穴、偏頭痛、涙目
ST9 人迎 じんげい 前頭部、甲状腺軟骨上縁と同じ高さ、教唆乳突筋の前縁、総頸動脈上。
注1:胸鎖乳突筋は抵抗に抗して頭を反対側に向けるとより明瞭に現れる。
注2:扶突(LI18)、天窓(SI16)および甲状軟骨上縁と同じ高さにある。胸鎖乳突筋の前縁が人迎 (ST9)、後縁が天窓(SI16)、前縁と後縁の中央に扶突(LI18)がある。
禁灸穴、高血圧症、関節リウマチ、喘息、胃痛、眩暈、バセドウ病
ST10 水突 すいとつ 前頭部、輪状軟骨と同じ高さ、胸鎖乳突筋の前縁 気管支炎、喘息、リンパ節炎、バセドウ病、咳嗽
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
ST11 気舎 きしゃ 前頸部、小鎖骨上窩で鎖骨胸骨端の上方、胸鎖乳突筋の胸骨頭と鎖骨頭の間の感応部。
注1:胸鎖乳突筋は、抵抗に抗して頭を反対側に向けるとより鮮明に現れる。
注2:鎖骨上方で、人迎(ST9)の下方にある。
咽頭通、咳、喘息
ST12 缺盆 けつぼん 前頸部、大鎖骨上窩、前正中線の外方4寸、鎖骨上方の陥凹部。 禁鍼穴、喘息、肋膜炎、気管支炎、上肢の麻痺
ST13 気戸 きこ 前胸部、鎖骨下縁、前正中線の外方4寸。 呼吸器疾患、心臓疾患、乳腺炎、肋間神経痛、喘息、咳、胸部のはり、胸部苦満などの呼吸器疾 患、気管支炎
ST14 庫房 こぼう 前胸部、第1肋間、前正中線の外方4寸。 呼吸器疾患、心臓疾患、乳腺炎、肋間神経痛
ST15 屋翳 おくえい 前胸部、第2肋間、前正中線の外方4寸。
注:第2肋間は、胸骨角と同じ高さの第2肋骨の下である。
呼吸器疾患、心臓疾患、乳腺炎、肋間神経痛
ST16 膺窓 ようそう 前胸部、第3肋間、前正中線の外方4寸。 胸痛、肋間神経痛
ST17 乳中 にゅうちゅう 前胸部、乳頭中央。
注:男性では乳頭中央は第4肋間に当たる。
禁鍼灸穴
ST18 乳根 にゅうこん 前胸部、第5肋間、前正中線の外方4寸。
注:男性では乳頭線と第5肋間の交わるところ、女性では乳房下縁の中点にある。
肋間神経痛
ST19 不容 ふよう 上腹部、臍中央の上方6寸、前正中線の外方2寸。
注1:巨闕(CV14)の外方2寸にある。
注2:胸骨下角が狭く、不容(ST19)の下に肋骨がある場合は、斜刺を採用すべきである。
嘔吐、心悸亢進、胃痙攣、肋間神経痛、胃酸過多
ST20 承満 しょうまん 上腹部、臍中央の上方5寸、前正中線2寸。
注:天枢(ST25)の上方5寸、不容(ST19)の下方 1寸、上脘(CV13)の外方2寸にある。
胃疾患、肋間神経痛、肝疾患に伴う胃上部不快感、心臓疾患、喘息
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
ST21 梁門 りょうもん 上腹部、臍中央の上方4寸、前正中線2寸。
注:天枢(ST25)の上方4寸、承満(ST20)の下方 1寸、中脘(CV12)の外方2寸にある。
胃疾患全般
ST22 関門 かんもん 上腹部、臍中央の上方3寸、前正中線2寸。
注:石関(KI18)、建里(CV11)と同じ高さで、それらの外方にある
胃疾患全般
ST23 太乙 たいいつ 上腹部、臍中央の上方2寸、前正中線の外方2寸。
注:商曲(KT17)、下脘(CV10)と同じ高さで、それらの外方にある。
胃炎、胃アトニー、胃拡張、胃下垂、胃痙攣、胃潰瘍、食欲不振、肝臓疾患、胆嚢炎、胆石
ST24 滑肉門 かつにくもん 上腹部、臍中央の上方の1寸、前正中線の外方2寸。
注:水分(CV9)と同じ高さで、その外方にある。
腎炎、腎盂炎、消化不良、胃下垂症、十二指腸潰瘍
ST25 天枢 てんすう 上腹部、へそ中央の外方2寸。 大腸疾患、下痢、便秘、腸炎、腎炎、腎盂炎、肝臓疾患、生殖器疾患、腰痛
ST26 外陵 がいりょう 下腹部、へそ中央の下方1寸、前正中線の外方2寸。
注:中注(KI15)、陰交(CV7)と同じ高さで、それらの外方にある。
大小腸疾患、腎臓疾患、腰痛、生殖器疾患、胃下垂、生理痛
ST27 大巨 だいこ 下腹部、臍中央の下方2寸、前正中線の外方2寸。
注:四満(KI14)、石門(CV5)と同じ高さで、それらの外方にある。
大腸疾患、腎疾患、婦人科疾患、膀胱炎、月経困難
ST28 水道 すいどう 下腹部、臍中央の下方3寸、前正中線の外方2寸。
注:天枢(ST25)の下方3寸、大巨(ST27)の下方 1寸、関元(CV4)の外方2寸にある。
膀胱疾患、尿道疾患、子宮疾患
ST29 帰来 きらい 下腹部、臍中央の下方4寸、前正中線の外方2寸。
注:天枢(ST25)の下方4寸、水道(ST28)の下方
1寸、中極(CV3)の外方2寸にある。
男女泌尿器生殖器疾患、膀胱疾患
ST30 気衝 きしょう 鼡径部、恥骨結合上縁と同じ高さで、前正中線の外方2寸、大腿動脈拍動部。
注:天枢(ST25)の下方5寸、曲骨(CV2)の外方2寸にある。
禁鍼穴、腹膜炎、腹水、下腹痛、睾丸炎、子宮内膜炎
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
ST31 髀関 ひかん 大腿前面、3筋(大腿直筋と縫工筋と大腿筋膜張筋)の近位部の間の陥凹部。
注1:股関節と膝をわずかに屈曲し、大腿をわずかに外転し、大腿前内側に加えられて抵抗に抗したとき、三角形の陥凹が現れる。大腿直筋近位部は、内側の縫工筋と外側の大腿筋膜張筋の間の陥凹部にある。髀関(ST31)は、三角形の頂点の下方にある陥凹部の最も深い部分にある。注2:膝蓋骨底外端と上前腸骨棘を結ぶ線が、恥骨結合下縁の水平線と交わるところにある。
腓側大腿皮神経痛、股関節炎
ST32 伏兎 ふくと 大腿前外側、膝蓋骨底外端と上前腸骨棘を結ぶ線上、膝蓋骨底の上方6寸。 腓側大腿皮神経痛、坐骨神経痛、下肢麻痺、脚気
ST33 陰市 いんし 大腿前外側、大腿直筋腱の外側で膝蓋骨底の上方3寸。
注:伏兎(ST32)と膝蓋骨底の上方3寸。
禁灸穴、下腹部の冷感、下腹痛、膝痛、膝の冷え、脚気、大腿神経痛
ST34 梁丘 りょうきゅう 大腿前外側、外側広筋と大腿直筋腱外縁の間、
膝蓋骨底の上方2寸。
注:大腿の筋を緊張させると、大腿直筋腱と外側広筋がより明瞭になる。梁丘(ST34)は、大腿直筋腱と外側広筋の間で陰市(ST33)の直下1寸にある。
腹痛、胃痙攣、下痢止め、膝痛、胆石、胃の痛 み、大腿痛、片麻痺、膝関節及びその周囲軟部組織の知覚・運動障害、急性胃炎
ST35 犢鼻 外膝眼 とくび
がいしつがんそとしつがん
膝前面、膝蓋靱帯外方の陥凹部。
注:膝を屈曲したとき、膝蓋骨外下方の陥凹部にある。
膝関節炎、膝関節症、脚気
ST36 足三里 あしさんり 下腿前面、犢鼻(ST35)と解谿(ST41)を結ぶ線上、犢鼻(ST35)の下方3寸。
注:前頸骨筋上にある。
各慢性疾患、消化器疾患、ノイローゼ、坐骨神経痛、養生保健の灸穴、消化器・呼吸器・心臓など内臓の病気、神経症、蓄膿症、婦人病、高血圧、慢性疲労、片麻痺、膝、半身不随・運動疾患等万病に効果的
ST37 上巨虚 じょうこきょ 下腿前面、犢鼻(ST35)と解谿(ST41)を結ぶ線上、犢鼻(ST35)の下方6寸。
注:前頸骨筋上にある。
大腸疾患、脚気、腓骨神経痛
ST38 条口 じょうこう 下腿前面、犢鼻(ST35)と解谿(ST41)を結ぶ線
上、犢鼻(ST35)の下方8寸。
注:前頸骨筋上、豊隆(ST40)と同じ高さにある。
禁灸穴、下肢麻痺、脚気、胃弱
ST39 下巨虚 げこきょ 下腿前面、犢鼻(ST35)と解谿(ST41)を結ぶ線上、犢鼻(ST35)の下方9寸。
注:前頸骨筋上、陽交(GB35)、外丘(GB36)と同じ高さにある。
小腸疾患、脚気、腓骨神経痛
ST40 豊隆 ほうりゅう 下腿前外側、前頸骨筋の外縁、上果尖の上方8寸。
注:条口(ST38)の外方1横指(中指)にある。
脚気、足背痛、下肢麻痺
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
ST41 解谿 かいけい 足関節前面、足関節前面中央の陥凹部、長拇指伸筋腱群と長指伸筋腱の間。
注:足関節を背屈させたときに足背に明瞭に現れる2つの腱の間で、内果尖、外果尖を結ぶ線上の中点にある。
足関節炎、リウマチ、足間接捻挫、下肢麻痺、上瞼下垂、足の捻挫、足首関節のはれ・痛み、下腿の知覚・運動障害、片麻痺、頭痛、めまい、腹 脹、腹痛、腸鳴、下痢
ST42 衝陽 しょうよう 足背、第2中足骨底部と中間楔状骨の間、足背動脈の拍動部。 食欲不振、嘔吐、上歯痛、顔面麻痺、捻挫、足関節痛、リウマチ
ST43 陥谷 かんこく 内庭と解谿の間、内庭から2寸 足背水腫、足底痛、急・慢性胃炎、下痢、顔面の
はれ・むくみ、口内炎、中耳炎、発熱、足軟無力、足関節障害、片麻痺、レイノー症、歯痛
ST44 内庭 ないてい 足背、第2・第3足指関節間、みずかきの後縁、赤白肉際。 食傷、足背水腫、第2指の麻痺、顔面麻痺、上歯痛
ST45 厲兌 れいだ 足の第2指、末節骨外側、爪甲角の近位外方0.1寸(指寸)、爪甲角外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。 腹張、腹水、脳卒中、ノイローゼ、脳貧血、顔面麻痺

足の太陰脾経

脾は運化をつかさどる

は胃と同じく倉廩そうりんの官」と呼ばれ、消化・吸収を調節する働きがある。脾は飲食物(水穀)から、栄養分(精微)をつくりだし、全身に送る(水穀の運化)臓器とされる。

脾は昇清・統血をつかさどる

牌は体内の栄養物質を上に持ち上げる機能(昇清)をもつ。昇清によって、栄養分を体の上方へ運び、五臓六腑を一定の位置に維持する。また、血が血管の外に漏れ出さないようにする機能(統血)をもつため、脾の機能に異常が生じると、出血傾向が現れる。

病証

是動病:

舌根部のこわばり、食べると嘔吐痛、腹脹、よくオクビ(げっぷ)が出る。大便やガスが出ると一時は良くなったように思えるが全身の倦怠感がある。

所生病:

舌根部の痛み、体を動かすことができず、食物が下がらなくなる。胸苦、心窩部の痛み、下痢・黄疸、(前胸部・心窩部・腋窩)の圧迫感、横になることができない、股関節や膝の内側が腫れて冷える、足の母指(趾)麻痺

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
SP1 隠白 いんぱく 足の第1指、末節骨内側、爪甲角の近位内方0.1 寸(指寸)、爪甲内側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。 禁灸穴、急性胃炎、胆石仙痛、小児の夜驚症、精神が興奮した時、月経不順
SP2 大都 だいと 足の第1指、第1中足指関節の遠位陥凹部、赤白肉際。 足の拇指基底の関節炎及び関節痛
SP3 太白 たいはく 足内側、第1中足指関節の近位陥凹部、赤白肉際。 足の拇指麻痺、拇指痛
SP4 公孫 こうそん 足内側、第1中足骨底の前下方、赤白肉際。
注:太白(SP3)から近位に向かって擦上すると陥凹を触れる。第1中足骨底部の遠位陥凹部にある。
足底痛、拇指麻痺、胃痛、食欲不振、消化不良、高血圧、嘔吐、頭重、全身倦怠、足指痛・腫脹、腹脹、腹痛、嘔吐、下痢、腸鳴、急・慢性胃腸炎、ノイローゼ
SP5 商丘 しょうきゅう 足内足、内果の前下方、舟状骨粗面と内果尖の中央陥凹部。
注1:内果前縁の垂線と内果下縁の水平線の交点にある。
注2:中封(LR4)の後、照海(KT6)の前にある。
足跗(足の甲)の関節炎及びリウマチ、捻挫による足跗の腫れ、婦人病、呼吸器の疾患、足関節痛・腫脹及び周囲軟部組織障害、腓腹筋痙攣、腹脹、腹痛、嘔吐、腸鳴、食欲不振
SP6 三陰交 さんいんこう 下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後側、内果尖の上方3寸。
注:交信(KI8)上方1寸にある。
月経不順、不妊症、子宮内膜炎、冷感症、逆子の補正、帯下、陰萎、足関節痛、脚気、生理不順、更年期障害、虚弱体質、胃腸障害、婦人科の諸症状、生殖器系の障害、慢性出血症状、消化吸収不良の障害、神経衰弱
SP7 漏谷 ろうこく 下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後縁、内果尖の上方6寸。
注:三陰交(SP)の上方3寸にある。
禁灸穴、婦人科疾患、冷え症、脚気、胃腸病、ノイローゼ、胆嚢炎、腹脹、腹痛、下痢、排尿困難、膝と下腿の知覚・運動障害、慢性出血症状
SP8 地機 ちき 下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後側、陰陵泉(SP9) の下方3寸。
注:内果尖と膝蓋骨尖を結線上で、膝蓋骨尖から1/3にある。
大腿神経痛、下肢麻痺、脚気、下肢水腫、膝関節炎、消化不良、急性胃炎、胃潰瘍、糖尿病、胃酸過多症、糖尿病、胃酸過多、精力減退、股関節・足の痛み、膝と下腿の知覚・運動障害、婦人病、生殖器系の障害、腹脹、腹痛、下痢、腰痛
SP9 陰陵泉 いんりょうせん 下腿内側(脛側)、脛骨内側顆下縁と脛骨内側が接する陥凹部。
注:脛骨内側縁に沿って近位へ擦上すると、膝関節の下に陥凹部を触れる。脛骨内則顆下縁と脛骨後縁の角の陥凹部にある。
禁灸穴、膝関節炎、下腹痛、消化器・生殖器・膝関節の病気、残尿、下腹部の冷え、膝と下腿の知覚・運動障害、婦人病、腹脹、腹痛、下痢、腰痛
SP10 血海 けっかい 大腿前内側、内側広筋隆起部、膝蓋骨底内端の上方2寸。 膝関節炎、リウマチ、膝痛、子宮内膜炎、月経不調、月経痛、更年期障害、膝関節痛、リウマチ、神経痛、慢性出血症状、貧血、生殖器系の障害、婦人科の諸疾患
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
SP11 期門 きもん 前胸部、第6肋間、前正中線の外方4寸。
注:乳頭中央の下方、不容(ST19)の外方2寸。
女性では鎖骨中線と第6肋間の交点にある。
肝胆疾患、肋膜炎、肋間神経痛、胃十二指腸疾患、ノイローゼ、横隔膜痙攣
SP12 衝門 しょうもん 鼡径部、鼡径溝、大腿動脈拍動部の外方。
注:曲骨(CV2)と同じ高さ、府舎(SP13)の内下方にある。
腹水、股神経痛、陰嚢ヘルニア
SP13 府舎 ふしゃ 下腹部、臍中央の下方4.3寸、前正中線の外方4寸。 便秘、下痢
SP14 腹結 ふっけつ 下腹部、臍中央の下方1.3寸、前正中線の外方4寸。 便秘、下痢、腹痛
SP15 大横 だいおう 上腹部、臍中央の外方4寸。
注:天枢(ST25)、肓兪(KI16)、神闕(CV8)と同じ高さ、それらの外方にある。
便秘、腹水、腹膜炎、月経困難
SP16 腹哀 ふくあい 上腹部、臍中央の上方3寸、前正中線の外方4 寸。
注:大横(SP15)の上方3寸、建里(CV11)と同じ高さにある。
禁灸穴、右肝臓肥大左胃痙攣、消化不良
SP17 食竇 しょくとく 前胸部、第5肋間、前正中線の外方6寸。
注:食竇(SP17)、乳根(ST18)、步廊(KI22) は、第5肋間の曲線に沿って並ぶ。
肋間神経痛、胸膜炎、乳腺炎、乳汁不足、肝肥大
SP18 天谿 てんけい 前胸部、第4肋間、前正中線の外方6寸。
注:天谿(SP18)、乳中(ST17)、神封(KI23) は、第4肋間の曲線に沿って並ぶ。
肋間神経痛、肋膜炎、乳腺炎
SP19 胸郷 きょうきょう 前胸部、第3肋間、前正中線の外方6寸。
注:胸郷(SP15)、膺窓(ST16)、霊墟(KI24) は、第3肋間の曲線に沿って並ぶ。
肋間神経痛、乳腺炎、乳汁不足
SP20 周栄 しゅうえい 前胸部、第2肋間、前正中線の外方6寸。
注:周栄(SP20)、屋翳(ST15)、上蔵(KI25) h、第2肋間の曲線に沿って並ぶ。
肋間神経痛、気管支炎、肺炎、胸膜炎
SP21 大包 だいほう 側胸部、第6肋間、中腋窩線上。
注:側臥して上腕を外転したとき、中腋窩線と第6肋間の交点にある。
喘息、胸膜炎、肋間神経痛

手の少陰心経

心は神志をつかさどる

「君主の官」と呼ばれる。生命にとって最も重要な神を蔵し、意識と精神(聡明さ、英知)はここから発現する。すなわち、人間が、考え、判断し、行動に移せるのは、心の機能と考える。また、五臓六腑の活動の調和を計り、身体のすべての組織・器官の働きを適切に行わせる。このように、すべての精神生命活動は心により統率されている。

心は血脈をつかさどる

は、全身に血液を循環させ、脈の働きをつかさどる主要な臓器である。心が正常に働くことで、血が身体の隅々まで行きわたり、栄養分を届けることができる。

病症

是動病:

喉が渇き、胸が痛む

所生病:

眼が黄色くなる、脇が痛む、心経の経脈上(胸・上肢の前面内側)の痛み・冷え、手掌のほてり

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
HT1 極泉 きょくせん 腋窩、腋窩中央、腋窩動脈拍動部 わきが、心臓疾患、肋間神経痛、神経衰弱、五十肩、上肢の痺れや疼痛
HT2 青霊 せいれい 上腕内側面、上腕二頭筋の内側縁、肘窩横紋の上方3寸。
注:肘を曲げ、腕を外転し、極泉(HT1)と少海 (HT3)を結ぶ線上、少海(HT3)から1/3にある。
禁鍼穴、前頭痛、尺骨神経痛、寝違い、頸肩腕症候群
HT3 少海 しょうかい 肘前内側、上腕骨内側上顆の前縁、肘窩横紋と同じ高さ。
注:肘を曲げ、上腕骨内側上顆と肘窩横紋と同じ高さ。
耳鳴り、眼充血、蓄膿症、肥厚性鼻炎、肘関節リウマチ、肥満症、心臓疾患、五十肩
HT4 霊道 れいどう 前腕前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋の上方1.5寸。
注1:神門(HT7)の上方1.5寸、尺骨頭上縁と同じ高さにある。
注2:豆上骨の上縁橈側の上方1.5寸にある。
扁桃炎
HT5 通里 つうり 前腕前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋の上方1寸。
注1:神門(HT7)の上方1寸、霊道(HT4)は尺骨頭
の根部、通里(HT5)は体部、陰郄(HT6)じゃ底部にある。
注2:豆上骨の上縁橈側の上方0.5寸にある。
心臓疾患
HT6 陰郄 いんげき 前腕前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋の上方0.5寸。
注1:神門(HT7)の上方0.5寸、尺骨頭下縁と同じ高さ。
注2:豆上骨の上縁橈側の上方0.5寸にある。
心筋梗塞、狭心症、心悸亢進症などの急性症状の緩解
HT7 神門1 しんもん 手関節前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋上。
注:豆上骨上縁橈側の陥凹部、手関節掌側横紋上にある。
狭心症、心筋梗塞、神経症、ヒステリー、癇癪、便秘、眩暈、不眠症、腕関節炎
HT7 神門2 しんもん 澤田流:手の外踝の指先側の下端の窪み 狭心症、心筋梗塞、神経症、ヒステリー、癇癪、便秘
HT8 少府 しょうふ 手掌、第5中指節関節の近位端と同じ高さ、第
4・第5中手骨の間。
注:第4・第5中手骨間、拳を握ったときに小指頭が当たるところにある。労宮(PC8)と同じ高さにある。
手根関節痛、尺骨神経麻痺、弾発指
HT9 少衝 しょうしょう 小指、末節骨橈側、爪甲角の近位外方0.1寸(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。 気絶、人事不省、狭心症、胸痛などの急性症状

手の太陽小腸経

小腸は受盛じゅせい化物かぶつ清濁泌別せいだくひべつをつかさどる

小腸「受盛の官」と呼ばれ、胃で腐熟消化された飲食物を受理(受盛)し、精微をとりだす(化物)。それを栄養分(精または精気という)と残渣(不要な物)に選別して(清濁泌別)、栄養分を脾に送り、残渣のうち、水液を膀胱に、残りの物は大腸に送って体外に排泄させる。

病証

是動病:

喉の痛み、おとがい(下顎)の腫れ、頸部の運動制限、肩や上腕の激しい痛み

所生病:

難聴、眼の黄ばみ、頬の腫れ、小腸経の経脈上(頤·頬·肩・上肢後面内側・小指)の痛み

 

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
SI1 少沢 しょうたく 小指、末節尺側、爪甲角の近位内方0.1寸(指寸)、爪甲尺側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。 気付け、狭心症、胸痛、激しい頭痛、感冒による発熱、小児のひきつけ
SI2 前谷 ぜんこく

小指、第5中指節関節尺側の遠位陥凹部、赤白肉際。
注:軽く拳を握り、小指の中指節関節掌側横紋の尺側端にある。

感冒による発熱、耳下腺炎の熱症状
SI3 後谿

ごけい(ごうけい)

手背、第5中指節関節尺側の近位陥凹部、赤白肉際。
注:軽く拳を握り、遠位手掌線の尺側端、赤白肉際にある。

流行性感冒、肺炎
SI4 腕骨 わんこつ

手関節後内側、第5中手骨底部と三角骨の間の陥凹部、赤白肉際。
注:後谿(SI3)から第5中手骨を骨の突起まで擦上していくと、第5中手骨底部と三角骨の間の陥凹部にある。

手根間接リウマチ、尺骨神経痛、腕関節炎、耳鳴り、頭痛、耳下腺炎、発熱で発汗しない
SI5 陽谷 ようこく 手関節後内側、三角骨と尺骨茎状突起の間の陥凹部。 手根間接リウマチ、尺骨神経痛
SI6 養老 ようろう

前腕後内側、尺骨頭橈側の陥凹部、手関節背側横紋上方1寸。
注:手掌を下に向け(前腕を回内して)、指で尺骨頭の頂点を長を押さえて手掌を胸部に向けると(回外すると)、指が滑り込む骨の割れ目にある。

手根間接リウマチ、上腕神経痛
SI7 支正 しせい

前腕後内側、尺骨内縁と尺側手根屈筋の間、手関節背側横紋の上方5寸。
注:暘谷(SI5)少海(SI8)を結ぶ線上の中点の下方1寸にある。

尺骨神経痛及び麻痺
SI8 少海 しょうかい

肘前内側、上腕骨内側上顆の前縁、肘窩横紋と同じ高さ。
注:肘を曲げ、上腕骨内側上顆と肘窩横紋と同じ高さ。

耳鳴り、眼充血、蓄膿症、肥厚性鼻炎、肘関節リウマチ、肥満症、心臓疾患、五十肩
SI9 肩貞 けんてい

肩周囲部、肩関節の後下方、腋窩横紋後端の上方1寸。
注:上腕を内転すると、腋窩横紋後端の上方1寸、三角筋の後側にある。

禁灸穴、五十肩、肩甲関節炎、上肢の挙上不能、肩関節障害、頚腕障害、肩甲痛、片麻痺、上肢の痛み
SI10 臑兪 じゅゆ 肩周囲部、腋窩横紋後端の上方、肩甲棘の下方陥凹部。 五十肩、上腕神経痛、血圧亢進症
経穴名 読み 経穴の位置 経穴の効果
SI11 天宗 てんそう 肩甲部、肩甲棘の中点と肩甲骨下角を結んだ線上、肩甲棘から1/3にある陥凹部。 胸痛、乳房痛、心臓部の疼痛、五十肩、上腕神経痛、肋間神経痛、乳汁分泌不足、肩甲痛、肩こり、肩関節障害、上肢外側の知覚・運動障害
SI12 秉風 へいふう 肩甲部、棘上窩、肩甲棘中点の上方。 上肢の神経痛
SI13 曲垣 きょくえん

肩甲部、肩甲棘内端の上方陥凹部。
注:臑兪(SI10)と第2胸椎棘突起を結ぶ線上の中点にある。

肩こり、五十肩、頚痛
SI14 肩外兪 けんがいゆ

上背部、肩甲棘内端の上方陥凹部。
注:臑兪(SI10)と第2胸椎棘突起を結ぶ線の中点にある。

肩甲痛、側頭痛、寝違い、肩・背中・肘の痛み、だるい、痙攣、項強
SI15 肩中兪 けんちゅうゆ

上背部、第7胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方2寸。
注:肩甲棘内端縁と後正中線を結ぶ線上で、肩甲棘内端縁1/3の垂直線と第7頸椎棘突起下縁の水平線の交点にある。

肩こり、項強、寝違い、頭痛、頭重、かすみ目、疲れ目、肩背痛、咳、たん
SI16 天窓 てんそう

前頸部、胸鎖乳突筋の後縁、甲状軟骨上縁と同じ高さ。
注1:胸鎖乳突筋は抵抗に抗して頭を反対側に向けるとより明瞭に現れる。
注2:人迎(ST9)、扶突(LI18)および甲状腺軟骨上縁と同じ高さにある。人迎(ST9)は胸鎖乳突筋の前縁、天窓(SI16)は胸鎖乳突筋の後縁、扶突(LI18)は胸鎖乳突筋の前縁と後縁の中央にある。

側頚痛、偏頭痛、三叉神経痛、頸肩腕症候群、下歯痛、五十肩、肩甲痛、肩こり、肩関節障害、上肢外側の知覚・運動障害
SI17 天容 てんよう

前頭部、下顎角の後方、胸鎖乳突筋の前方陥凹部。
注:胸鎖乳突筋は、抵抗に抗して頭を反対側に向けるとより明瞭に現れる。

偏頭痛、咽喉炎、扁桃腺炎
SI18 顴髎 かんりょう 顔面部、外眼角の直下、頬骨下方の陥凹部。 禁灸穴、顔面神経麻痺、三叉神経痛、急性鼻炎
SI19 聴宮 ちょうきゅう

顔面部、耳珠中央の前縁と下顎骨関節突起の間の陥凹部。
注:口をわずかに開けたとき、耳珠中央の前方陥凹部、耳門(TE21)と聴会(GB2)の間にある。

耳鳴り、中耳炎、難聴、結膜炎、三叉神経痛、顔面神経麻痺、偏頭痛

足の太陽膀胱経

膀胱は貯尿、排尿をつかさどる

膀胱「州都の官」と呼ばれ、肺、脾、腎、三焦の働きにより全身をめぐった水液を溜め(貯尿)、腎気の作用で体外に排泄(排尿)する。本来、津液は胃と脾によって飲食物から生成され、全身に送られて栄養を供給するものである。しかし、余分の津液は、汗として排泄されたり、膀胱に送られて尿として体外に排泄されたりする。

病証

是動病:

激しい頭痛、眼·後頸部·腰背部の痛み、股関節が曲げられず、下腿後面の張り・痛みを訴える。

所生病:

痔、精神異常、頭痛、うなじの痛み、眼が黄ばみ涙が出る。鼻血、鼻づまり、膀胱経の経脈上(頭部·後頸部·体幹後面·下腿後面・小趾)の痛み、足の第5指(趾)の麻痺

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
BL1 晴明 せいめい 顔面部、内眼角の内上方と眼窩内側壁の間の陥凹部。
注:目を閉じたとき、内眼角の上方0.1寸の陥凹部にある。
鼻涙管閉塞、結膜炎、角膜炎、蓄膿症、眼疾患、流涙症、眼のけいれん
BL2 攅竹 さんちく 頭部、眉毛内端の陥凹部。
注:前頭切痕の陥凹部は、睛明(BL1)の直上、眉毛内端に触知できる。
禁灸穴 結膜炎、視力減退、眼精疲労、頭痛、血圧亢進症 、頭痛、眩暈(めまい)、流涙症、顔面神経麻痺、三叉神経痛、眼の諸疾患、眼筋痙攣、鼻炎
BL3 眉衝 びしょう 頭部、前頭切痕の上方、前髪際の上方0.5寸。
注:神庭(GV24)と曲差(BL4)の中央にある。
五癇、頭痛、鼻塞、眼精疲労、おでこのしわ
BL4 曲差 きょくさ 前頭部、前髪際の上方0.5寸、前正中線の外方
1.5寸。
注:神庭(GV24)と頭維(ST8)を結ぶ線上、神庭(GV24)から1/3にある。
三叉神経痛、視力減退、眼底出血、頭重、頭痛、血圧亢進症
BL5 五処 ごしょ 頭部、前髪際の上方1寸、前正中線の外方1.5 寸。
注:曲差(BL4)の上方0.5寸、上星(GV23)と同じ高さにある。
前頭痛、鼻詰り
BL6 承光 しょうこう 頭部、前髪際の上方2.5寸、前正中線の外方1.5 寸。
注:五処(BL5)の上方1.5寸、曲差(BL4)の上方2 寸にある。
禁灸穴、眼疾患、涙目、視力減退
BL7 通天 つうてん 頭部、前髪際上方4寸、前正中線の外方1.5寸。
注:承光(BL6)と絡却(BL8)の中点にある。
偏頭痛、頭痛、項強
BL8 絡却 りゃっきゃくらっきゃく 頭部、前髪際の上方5.5寸、後正中線の外方1.5寸。
注:百会(GV20)の後方0.5寸、外方1.5寸にある。
禁鍼穴、頭痛、耳鳴り、神経痛
BL9 玉枕 ぎょくちん 頭部、外後頭隆起上縁と同じ高さ、後正中線の外方1.3寸。
注:僧帽筋外縁の垂線と外後頭隆起上縁の水平線の交点で、脳戸(GV17)と同じ高さにある。
禁鍼穴、後頭痛、不眠症、頚項痛
BL10 天柱 てんちゅう 後頸部、第2頸椎(C2)棘突起上縁と同じ高さ、僧帽筋の外縁の陥凹部。 頭重、頭痛、不眠、低血圧、神経衰弱、鼻疾患、眼疾患、心悸亢進症、狭心症、めまい、目の疲れ、肩こり、だるい、疲れ
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
BL11 大杼 だいじょ 上背部、第1胸椎(T1)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 胸中の熱を瀉す、咽頭炎、扁桃炎、気管支炎、発熱、頭痛、肩甲骨のだるさ・痛み、頚椎痛、後頭痛、項強、肩こり
BL12 風門 ふうもん 上背部、第2胸椎(T2)棘突起上縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 風邪感冒の予防、呼吸器疾患、頭痛、鼻疾患、咽頭炎、扁桃腺炎、蕁麻疹、肩こり、発熱、腰・背部の痛み、頚部筋肉痛、顔面神経麻痺
BL13 肺兪 はいゆ 上背部、第3胸椎(T3)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 呼吸器疾患、肥厚性鼻炎、肩背痛、肋間神経痛、肩・背中・胸痛、風邪、アレルギー、盗汗(寝汗)
BL14 厥陰兪 けついんゆ 上背部、第4胸椎(T4)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 肋膜炎、肋間神経痛、心筋障害、心臓神経症、心悸亢進症、上歯痛、心臓疾患、胸痛、嘔吐、胸部苦満、心胸痛、神経衰弱
BL15 心兪 しんゆ 上背部、第5胸椎(T5)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 心臓疾患、高血圧、脚気、リウマチ、結膜炎、肋間神経痛、神経症、五十肩、上肢痛、動悸、のぼせ、下半身の冷え、心身症、不眠症、神経衰弱
BL16 督兪 とくゆ 上背部、第6胸椎(T6)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 心臓疾患、胃疾患、腹痛、心痛、心胸痛、腹痛、横隔膜痙攣、アレルギー
BL17 膈兪 かくゆ 上背部、第7胸椎(T7)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。
注:肩甲骨下角は第7胸椎(T7)棘突起と同じ高さにある。
肋膜炎、胃酸過多、胸焼け、胃潰瘍、胃下垂、胃神経症、神経衰弱、気管支炎、嘔吐、喘息、吐血、食道狭窄、ゲップ、横隔膜痙攣、盗汗
BL18 肝兪 かんゆ 上背部、第9胸椎(T9)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 肝臓疾患、眼科諸疾患、胆石、胆嚢炎、腰痛、肋膜炎、肋間神経痛、肝炎、肝臓肥大、胆石症、胆嚢炎、背筋痛、目疾患、肝疾患、婦人病、神経衰弱
BL19 胆兪 たんゆ 上背部、第10胸椎(T10)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 胆嚢炎、胆石、黄疸、肋膜炎、十二指腸潰瘍、頭痛、寒気、胸焼け、胸脇痛、口苦、潮熱
BL20 脾兪 ひゆ 上背部、第11胸椎(T11)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 胃痛、胃炎、胃痙攣、胃潰瘍、胃下垂、消化不良、食欲不振、胆石、膵炎、黄疸、糖尿病、腹脹、腹痛、嘔吐、腹脹、腹痛、吐き気、倦怠感、貧血、膵臓の疾患
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
BL21 胃兪 いゆ 上背部、第12胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 胃痙攣、胃炎、胃潰瘍、胃下垂、消化不良、食欲不振、吐き気、糖尿病、胸脇痛、膵臓の疾患
BL22 三焦兪 さんしょうゆ 腰部、第1腰椎(Li)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 腎炎、糖尿病、消化不良、下痢、腸炎、胃痙攣、腰痛、胆石、月経不順、副腎の機能低下、心身の疲れ、だるい、腹脹、腹痛、腸鳴、小便不利、水腫(むくみ)、頭痛
BL23 腎兪 じんゆ 腰部、第2腰椎(L1)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 腎臓、膀胱、生殖器、神経系、消化器、呼吸器の各疾患、腰膝軟弱、腰痛、泌尿器系疾患、生殖器系疾患、慢性下痢、冷え性、婦人病
BL24 気海兪 きかいゆ 腰部、第3腰椎(K3)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 腰痛、腰疝痛、便秘、下痢、泌尿器系の病気、冷え性、婦人病、下肢知覚・運動障害
BL25 大腸兪 だいちょうゆ 腰部、第4腰椎(L4)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 大腸炎、虫垂炎、便秘。下痢、皮膚病、推間板ヘルニア、腰痛、坐骨神経痛、月経痛、不妊症、背中痛、ぎっくり腰、坐骨神経痛、腹脹、腸鳴、慢性下痢、便秘
BL26 関元兪 かんげんゆ 腰部、第5腰椎(L5)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1.5寸。 婦人病、腰痛、腹脹、腸鳴、下痢、便秘、尿漏
BL27 小腸兪 しょうちょうゆ 仙骨部、第1後仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨後稜の外方1.5寸。
注:上髎(BL31)と同じ高さにある。
関節リウマチ、痔疾、下痢、便秘、月経不調、婦人病、膀胱炎、坐骨神経痛、膝関節炎、生殖器病、足の腫れ、息切れ、食欲不振、下腹痛、下痢、小便不利、尿漏
BL28 膀胱兪 ぼうこうゆ 仙骨部、第2後仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨稜の外方1.5寸。
注:次髎(BL32)と同じ高さにある。
膀胱炎、腰痛、坐骨神経痛
BL29 中膂兪 ちゅうりょゆ 仙骨部、第3後仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨稜の外方1.5寸。中髎(BL33)と同じ高さにある。 坐骨神経痛、膀胱炎
BL30 白環兪 はっかんゆ 仙骨部、第4後仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨稜の外方1.5寸。
注:仙骨裂孔の外方1.5寸、下髎(BL34)と同じ高さにある。
禁灸穴、膀胱疾患、婦人科疾患、痔疾患、大小便不通
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
BL31 上髎 じょうりょう 仙骨部、第1後仙骨孔。
注:第1後仙骨孔は、次髎 (BL32)から擦上すると陥凹部に触れる。
リウマチ、坐骨神経痛、膝関節炎、膀胱炎、痔疾、腰痛、血圧亢進症、月経不調、男女生殖器疾患、腰痛、夜尿症、尿失禁、婦人科系の疾患、胃痛、腹脹、嘔吐、しゃっくり、胸やけ、食欲不振、下痢、不眠
BL32 次髎 じりょう 仙骨部、第2後仙骨孔。
注:第2後仙骨孔は、上後腸骨棘下縁と正中仙骨稜の中央、陥凹部にある。
坐骨神経痛、泌尿器疾患、生殖器疾患、血圧亢進症、痔疾、脱肛、便通異常、腰痛、ぎっくり腰、月経不順、腹痛、脱肛、下痢、水腫、虚冷症
BL33 中髎 ちゅうりょう 仙骨部、第3後仙骨孔。
注:第3後仙骨孔は、次髎(BL32)からさすりおろし、最初の陥凹部にある。
痔疾、膀胱炎、直腸炎、前立腺肥大、尿道炎、生殖器・腎臓・膀胱の疾患、坐骨神経痛、婦人病、腰痛、帯下、便秘、下痢、小便不利
BL34 下髎 げりょう 仙骨部、第4後仙骨孔。
注:第4後仙骨孔は、次髎(BL32)からさすりおろし、2つめの陥凹部にある。仙骨裂孔と同じ高さにある。
痔核、脱肛、痔ろう、尿道炎、膀胱炎、陰萎、生殖器・泌尿器・直腸・肛門・下肢・腰の疾患
BL35 会陽 えよう 殿部、尾骨下端外方0.5寸。
注:患者は、仰臥位か膝胸位にする。会陽(BL35)は尾骨下端の外方の陥凹部にある。
痔出血、痔核、脱肛
BL36 承扶 しょうふ 殿部、殿溝の中点 禁灸穴、坐骨神経痛、股関節炎、モモの肉離れ、長期の痔、腰痛、片麻痺
BL37 殷門 いんもん 大腿部後面、大腿二頭筋と半腱様筋の間、殿溝の下方6寸。
注1:伏臥位で、膝を抵抗に抗して屈曲したとき、半腱様筋と大腿二頭筋がより鮮明に現れる。さらに股関節を内外旋させると両筋を見つけやすい。
注2:承扶(BL36)と委中(BL40)を結ぶ線上の中点の上方1寸にある。
足、背中、腰の痛み、坐骨神経痛、下肢の痛み・だるさ、こむら返り
BL38 浮郄 ふげき 膝後面、大腿二頭筋腱の内縁、膝窩横紋の上方1寸。
注:軽く膝を曲げ、大腿二頭筋の内縁、委陽(BL39)の上方1寸にある。
外側大腿神経痛、腓骨神経痛、膝関節炎
BL39 委陽 いよう 膝後外側、大腿二頭筋腱の内縁、膝窩横紋上。
注:軽く膝を屈曲すると、大腿二頭筋腱が顕著になる。
腓骨神経痛、膝関節炎、膀胱炎、背中・腹・腰・膝裏の痛み、坐骨神経痛、変形性膝関節症、下肢の知覚・運動障害、膜胱炎、腰背の諸障害
BL40 委中 いちゅう 膝後面、膝窩横紋の中点。 坐骨神経痛、膝関節炎、リウマチ、腰痛、変形性膝関節症、下腿の知覚・運動障害、片麻痺、腹痛、背部痛、膝痛、坐骨神経痛、風邪、熟、腰痛、下腿の知覚・運動障害
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
BL41 附分 ふぶん 上背部、第2胸椎(T2)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸。 肩背痛、上腕神経痛、項強
BL42 魄戸 はっこ 上背部、第3胸椎(T3)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸。
注:魄戸(BL42)、肺兪(BL13)と身柱(GV12) は、第3胸椎(T3)棘突起下縁と同じ高さにある。
呼吸器疾患、喘息、肩背痛
BL43 膏肓 こうこう 上背部、第4胸椎(T4)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸。
注:膏肓(BL43)と厥陰兪(BL14)は第4胸椎(T4) 棘突起下縁と同じ高さにある。
五十肩、上腕神経痛、背筋痛、心臓病、神経衰弱、胃酸過多、肋間神経痛、動悸、息切れ、せき、たん、背中痛、呼吸器系疾患、感冒、慢性虚弱の疾患、盗汗(寝汗)
BL44 神堂 しんどう 上背部、第5胸椎(T5)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸。
注:神堂(BL44)、心兪(BL15)、神道(GV11) は、第5胸椎(T5)棘突起下縁と同じ高さにある。
心臓疾患、胸部苦満、心胸痛、神経衰弱、肋間神経痛
BL45 譩譆 いき 上背部、第6胸椎(T6)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸。
注:譩譆(BL46)、督兪(BL16)、霊台(GV10)は第6胸椎(T6)棘突起下縁と同じ高さにある。
肋間神経痛、腰痛
BL46 膈関 かくかん 上背部、第7胸椎(T7)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸。
注:膈関(L46)、膈兪(BL17)、至陽(GV9)は棘突起下縁と同じ高さにある。
肋膜炎、胃下垂症、肝疾患
BL47 魂門 こんもん 上背部、第9胸椎(T9)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸。
注:魂門(BL47)、肝兪(BL18)、筋縮(GV8)は第9胸椎(T9)棘突起下縁と同じ高さにある。
肋膜炎、肋間神経痛、肝臓病
BL48 陽綱 ようこう 上背部、第10胸椎(T10)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸。
注:陽綱(BL48)、胆兪(BL19)、中枢(GV7)は、第10胸椎(T10)棘突起下縁と同じ高さにある。
肋膜炎、肋間神経痛、胆石症、胃痙攣
BL49 意舎 いしゃ 上背部、第11胸椎(T11)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸。
注:意舎(BL49)、脾兪(BL20)、背中(GV6)は、棘突起下縁と同じ高さにある。
胃痙攣、胃腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍
BL50 胃倉 いそう 上背部、第12胸椎(T12)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸。
柱:胃倉(BL50)、胃兪(BL21)は第12胸椎(T12)棘突起下縁と同じ高さにある。
胃痙攣、胃潰瘍、十二指腸潰瘍
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
BL51 肓門 こうもん 腰部、第1腰椎(L1)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸。
注:肓門(BL51)、三焦兪(BL22)、懸枢(GV5) は、第1腰椎(L1)棘突起下縁と同じ高さにある。
胃痙攣、胃炎、十二指腸潰瘍、腹痛
BL52 志室 ししつ 腰部、第2腰椎(L2)棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方3寸。
注:志室(BL52)、腎兪(BL23)、命門(GV4)は第2腰椎(L2)棘突起下縁と同じ高さにある。
男女生殖器疾患、背中・腰痛、坐骨神経痛、腎臓病、急性胃炎、泌尿器系疾患、婦人病
BL53 胞肓 ほうこう 殿部、第2後仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨稜の外方3寸。
注:胞肓(BL53)、膀胱兪(BL28)、次髎(BL32) は、第2後仙骨孔と同じ高さにある。
腰痛、上臀部神経痛、坐骨神経痛
BL54 秩辺 ちっぺん 殿部、第4後仙骨孔と同じ高さ、正中仙骨稜の外方3寸。
注:仙骨裂孔の外方3寸で、白環兪(BL30)と同じ高さにある。
直腸炎
BL55 合陽 ごうよう 下腿後面、腓腹筋外側頭と内側頭の間、膝窩横紋の下方2寸。
注:委中(BL40)と承山(BL57)を結ぶ線上、委中(BL40)の下方2寸にある。
坐骨神経痛、腓腹筋痙攣、脚気、下肢のだるさ・痛み、腰・背中の痛み
BL56 承筋 しょうきん 下腿後面、腓腹筋の両筋腹の間、膝窩横紋の下方5寸。
注:合陽(BL55)と承山(BL57)の中点にある。
禁鍼穴、こむらがえり、坐骨神経痛、痔疾、腰・背中の痛み、腓復筋の知覚・運動障害
BL57 承山 しょうざん 下腿後面、腓腹筋筋腹とアキレス腱の移行部。
注:足を底屈するか、爪先立ちをすると、腓腹筋筋腹下の鋭角になった陥凹部にある、。腓腹筋の二頭はラムダ(Λ)の形に分かれている。
坐骨神経痛、踵骨痛、痔出血、こむら返り、腰痛、便秘、腓復筋の知覚・運動障害
BL58 飛揚 ひよう 下腿後外側、腓腹筋外側頭下縁とアキレス腱の間、崑崙(BL60)の上方7寸。
注:崑崙(BL60)の上方、承山(BL57)の下方1寸にある。
坐骨神経痛、腓腹神経痛、頭痛、鼻づまり、鼻血、腰痛、腓復筋の知覚・運動障害、後頭痛、めまい
BL59 跗陽 ふよう 下腿後外側、腓骨とアキレス腱の間、崑崙(BL60)の上方3寸。 坐骨神経痛、膀胱及び子宮の熱、足関節炎、頭痛、腰痛、仙骨痛、後頭痛、下腿痛、外果腫痛
BL60 崑崙 こんろん 足関節後外側、外果尖とアキレス腱の間の陥凹部。 坐骨神経痛、足関節炎、捻挫、アキレス腱炎、リウマチ、頭痛、後頭痛、アキレス腱障害、踵痛、腰痛、高血圧、めまい
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
BL61 僕参 ぼくさん
(ぼくしん)
足外側、崑崙(BL60)の下方、踵骨外側、赤白肉際。 アキレス腱炎、踵骨痛、足関節炎
BL62 申脈 しんみゃく 足外側、外果尖の直下、外果下縁と踵骨の間の陥凹部。
注:外果下縁の下方陥凹部にある。申脈(BL62) に対応する内側の経穴は照海(LI6)である。
足関節炎、リウマチ、足間接捻挫
BL63 金門 きんもん 足背、外果前縁の遠位、第5中足骨粗面の後方、立法骨下方の陥凹部。 坐骨神経痛、足背の麻痺または疼痛
BL64 京骨 けいこつ 足外側、第5中足骨粗面の遠位、赤白肉際。
注:第5中足骨粗面は、踵と第5柱足指節関節のほぼ中央にある。
足背痛、足底痛
BL65 束骨 そっこつ 足外側、第5中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際。 膀胱経の兪穴
BL66 通谷
(足)
つうこく 足の第5指、第5中指節関節の遠位外側陥凹部、赤白肉際。 胃疾患、心臓疾患、喘息
BL67 至陰 しいん 足の第5指、末節関節外側、爪甲角の近位外方
0.1寸(指寸)、爪甲外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。
難産、逆子の矯正

足の少陰腎経

腎は蔵精をつかさどる

「作強の官」と呼ばれ、人体の生命活動を維持し、成長、発育、生殖に深くかかわる精を貯蔵(蔵精)し、五臟六腑に精を供給して、それらの健全な働きを維持している。

腎は主水をつかさどる

全身の水分の代謝を調節する機能(主水)がある。正常な状態では、水分は胃に入り、脾によって肺に運ばれ、そこから全身に行きわたり、汚れたら汗や尿になって排泄されると考えられる。

腎は納気をつかさどる

肺が吸い込んだ気を腎におさめる働き(納気)も行っている。納気することで、精を元気に化し、活性化する。

病証

是動病:空腹感はあるが食欲はない、顔色が黒ずむ、呼吸が苦しく咳き込む、血痰を吐く、立ちくらみ、寝ることを好んで起きたがらない、気が不足すると心配性でビクビクする。
所生病:口の中が熱く、舌が渇き、喉が渇いて腫れ上気する、胸が苦しく痛む、黄疸や下痢、経脈走行上(腰背部・大腿内側・足底)が痛み、横になりたがる。足底のほてりがある。

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
KI1 湧泉 ゆうせん 足底、足屈時、足底の最陥凹部。
注:足指屈曲時、足底部で第2・第3指の間のみずかきと踵を結ぶ線上、水かきから1/3にある。
腎臓疾患、足底の痛み、腎臓疾患による浮腫、婦人疾患、運動障害、心臓衰弱、足底発熱、足指痛、片麻痺、腓腹筋痙攣、頭痛、不眠、高血圧、神経衰弱、失神、熱中症
KI2 然谷 ねんこく 足内側、舟状骨粗面の下方、赤白肉際。 熱性疾患、足底痛、足心熱、咽喉痛、血圧亢進症の足冷え、腎臓、膜胱、扁桃腺、咽頭、耳の炎症、発熱性疾患、足指痛、婦人病、泌尿・生殖器系の障害、片麻痺、足の冷え性
KI3 太谿 たいけい 足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部。 手足の冷え、喘息、気管支炎、肋膜炎、腎疾患全般、消化不良、胃痛、嘔吐、便秘、心臓病、ぜんそく、喉のはれ、腎臓病、足指痛、片麻痺、泌尿・生殖器系の障害、婦人病
KI4 大鐘 だいしょう 足内側、内果後下方、踵骨上方、アキレス腱付着部内側前方の陥凹部。 脛骨痛、脛骨神経痛
KI5 水泉 すいせん 足内側、太谿(KT3)の下方1寸、踵骨隆起前方の陥凹部。 アキレス腱炎、踵骨痛、足関節炎
KI6 少海 しょうかい 肘前内側、上腕骨内側上顆の前縁、肘窩横紋と同じ高さ。
注:肘を曲げ、上腕骨内側上顆と肘窩横紋と同じ高さ。
耳鳴り、眼充血、蓄膿症、肥厚性鼻炎、肘関節リウマチ、肥満症、心臓疾患、五十肩
KI7 復溜 ふくりゅう 下腿後内側、アキレス腱の前縁、内果尖の上方2寸。
注:交信(KI8)と同じ高さで、後方にある。
アキレス腱炎、足底痛、踵骨痛、体が重い、冷え症、精力減退、寝汗、物忘れ
KI8 交信 こうしん 下腿内側、脛骨内縁の後方の陥凹部、内果尖の上方2寸。
注:復溜(KI7)の前方0.5寸にある。
婦人科疾患、疝気、寝汗、下腹痛
KI9 築賓 ちくひん 下腿後内側、ヒラメ筋とアキレス腱の間、内果尖の上方5寸。
注1:膝を屈し、抵抗に抗して足を底屈すると、脛骨内側縁にヒラメ筋がより明瞭に現れる。
注2:太谿(KI3)と陰谷(KI10)を結ぶ線上で、蠡溝(LR5)と同じ高さにある。
解毒の特効穴
KI10 陰谷 いんこく 膝後内側、半腱様筋の外縁、膝窩横紋上。 膝関節炎、リウマチ、腎機能の低下、性器の不正出血、生殖器の疾患、膝窩内側の知覚・運動障害、膝の冷え性、婦人病、泌尿・生殖器系の障害、婦人科系疾患、精力減退、下腹部・膝の痛み、冷え性、膝窩内側の知覚
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
KI11 横骨 おうこつ 下腹部、臍中央の下方5寸。前正中線の外方0.5寸。 禁鍼穴、膀胱炎、尿道炎、泌尿器疾患
KI12 大赫 だいかく 下腹部、臍中央の下方4寸、前正中線の外方0.5寸。 膀胱炎、尿道炎、男子性器神経症、陰萎、不感症、月経痛、子宮筋腫、男女性器疾患
KI13 気穴 きけつ 下腹部、臍中央の下方3寸、前正中線の外方0.5寸。 膀胱炎、尿道炎、泌尿器疾患、月経不調、子宮筋
KI14 四満 しまん 下腹部、臍中央の下方2寸、前正中線の外方0.5寸。 腹部冷感、腹膜炎、慢性腎炎
KI15 中注 ちゅうちゅう 下腹部、臍中央の下方1寸、前正中線の外方0.5寸。 聴疝通、腰痛、消化不良
KI16 肓兪 こうゆ 上腹部、臍中央の外方0.5寸。 婦人疾患、腎臓疾患、糖尿病、下痢、腹膜炎、胃下垂、男子の精力減退、胃酸過多
KI17 商曲 しょうきょく 上腹部、臍中央の上方2寸、前正中線の外方0.5寸。 胃疾患、十二指腸疾患、肝機能障害、婦人科疾患
KI18 石関 せきかん 上腹部、臍中央の上方3寸、前正中線の外方0.5寸。 婦人病、膀胱炎、胃腸病、腎炎
KI18 陰都 いんと 上腹部、臍中央の上方4寸、前正中線の外方0.5寸。 胃疾患、気管支炎、喘息

KI19

通谷

(腹)

つうこく 上腹部、臍中央の上方5寸、前正中線の外方0.5寸。 胃疾患、気管支炎、喘息、十二指腸潰瘍、肝疾患、胆石疝痛
KI20 幽門 ゆうもん 上腹部、臍中央の上方6寸、前正中線の外方0.5寸。 嘔吐、肋間神経痛
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
KI21 歩廊 ほろう 前胸部、第5肋間、前正中線の外方2寸。 心臓炎、肋膜炎、狭心症、肋間神経痛
KI22 神封 しんぽう 前胸部、第4肋間、前正中線の外方2寸。 狭心症、心筋梗塞、肋間神経痛
KI23 霊墟 れいきょ 前胸部、第3肋間、前正中線の外方2寸。 肋膜炎、気管支炎、肋間神経痛乳腺炎
KI24 神蔵 しんぞう 前胸部、第2肋間、前正中線の外方2寸。 心臓神経症、神経性心悸亢進症、高血圧症
KI25 彧中 いくちゅう 前胸部、第1肋間、前正中線の外方2寸。 喘息、気管支炎、咽喉炎
KI26 兪府 ゆふ 前胸部、鎖骨下縁、前正中線の外方2寸。 喘息、気管支炎、咽喉炎、甲状腺肥大、心臓疾患、胸部の痛み、咳、喘息

手の厥陰心包経

心包は心を包む膜(袋)

心包は、臣使しんしの官」と呼ばれ、心を包んで保護し、内外の邪から心を守る役割(外衛)がある。心の喜楽の意思を伝達する。心包は心包絡、あるいは膻中だんちゅうともいわれる。

病証

是動病:手掌のほてり、上肢の引きつえきかきろくり、腋窩の腫れ、ひどくなると季肋部がつかえ、動悸が起こる。顔色は赤く、眼は黄色くなり常に笑いたがる
所生病:胸が苦しく痛む、手掌のほてり

厥陰は、陰気が弱くなる最後の段階(太陰>少厥陰>厥陰)で、一番症状が重い状態、またはこれから陽へ変化する時期とされている。ちなみに、「厥」の字は「体をコの字に曲げて、吐いている様」に由来するという説がある

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
PC1 天池 てんち 前胸部、第4肋間、前正中線の外方5寸。 心臓疾患、肋間神経痛
PC2 天泉 てんせん 上腕前面、上腕二頭筋長頭と短頭の間、腋窩横紋前端の下方2寸。 上腕神経痛、正中神経麻痺、脱疽、胸痛
PC3 曲沢 きょくたく 肘前面、肘窩横紋上、上腕二頭筋内方の陥凹部。
注:肘を45度屈曲したとき、上腕二頭筋腱の内方にある。
咳、肘関節炎
PC4 郄門 げきもん 前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方5寸。
注1;拳を作り、手関節を回外して肘関節を軽く屈曲すると長掌筋腱と橈側手根筋腱がより明瞭に現れる。曲沢(PC3)と大陵(PC7)を結ぶ線の中点の下方1寸にある。
心臓疾患、指先の痺れ、背痛、胸痛、嘔吐、喀血、鼻出血
PC5 間使 かんし 前腕前面、長掌筋腱と橈側手根筋腱の間、手関節掌側横紋の上方3寸。
注1:拳を作り、手関節を回外して肘関節を軽く屈曲すると長掌筋腱と橈側手根筋腱がより明瞭に現れる。
注2:長掌筋腱が不明瞭な場合は、橈側手根屈筋腱の内側に取る。
心臓疾患、胸痛、胃部の不快感、胸背部痛、指先のしびれ
PC6 内関 ないかん 前腕前面、長掌筋腱と橈側手根筋腱の間、手関節掌側横紋も上方2寸。
注1:拳を作り、手関節を回外して肘関節を軽く屈曲すると長掌筋腱と橈側手根筋腱がより明瞭に現れる。
注2:長掌筋腱が不明瞭な場合は、橈側手根筋腱の内側に取る。
手根関節炎、心悸亢進症
PC7 大陵 だいりょう 手関節前面、長掌筋腱と橈側手根筋腱の間、手関節掌側横紋上。
注:拳を作り、手関節を軽く掌屈すると長掌筋腱と橈側手根筋腱がより明瞭に現れる。手関節掌側横紋の中点で長掌筋腱と橈側手根筋腱の間、豆上骨筋端の神門(HT7)と同じ高さにある。
心臓疾患、手根関節炎及びリウマチで手首が動かない時、手首の痺れ、腕関節疾患
PC8 労宮 ろうきゅう 手掌、第2・第3中手骨間、中手節関節の近位陥凹部。
別説:
手掌、第3・第4中手骨間、中手節関節の近位陥凹部。
関節炎などで手が腫れている時極度の疲労、小児疳虫
PC9 中衝 ちゅうしょう 中指、中指先端中央。
別説:
中指、末節骨橈側、爪甲角から近位外方0.1寸 (指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。
指痛

手の少陽三焦経

三焦は、気血、津液を全身にめぐらす

三焦は、決瀆けっとくの官」と呼ばれ、特定の器官を指すのではなく、飲食物を消化吸収し、それを気血液と化して全身にめぐらし、体内の水路を整え、不用の物質を尿、便として排泄させる総合的な機能をもつ腑とされている。そして、その部位、および機能のうえで、上焦、中焦、下焦の三つに区分される。
上焦は体温調節作用をもつ:上焦は横隔膜から上部の機能を指す。心・肺と関係が深く、主として「天の気」をつかさどり、また、呼吸運動や、飲食物(水穀)の受納を補佐し、体熱を産生し、体温調節を行う機能がある。
中焦は気血津液しんの調整作用をもつ:中焦は横隔膜から臍までの間の機能を指す。脾・胃と関係が深く、主として「地の気(飲食物の精気)」をつかさどり、胃と脾の消化、および運化の働きを補佐する。
下焦は輸瀉ゆ しゃ作用をもつ:下焦は臍から下部の機能を指す。腎・小腸・大腸・膀胱などと関係が深く、その機能は、不用な水分を分離して尿や便の排泄を行うことである。

病証

是動病:耳鳴り・難聴、喉が激しく腫れる
所生病:汗が出る、経脈走行上(目尻·頬・耳後・肩上部・上肢後面)の痛み、手の第4指の麻痺

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
TE1 関衝 かんしょう 薬指(第4指)、末節尺骨側、爪甲角から近位内方 0.1寸(指寸)、爪甲尺側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。 頭痛、耳鳴り
TE2 液門 えきもん 手背、薬指と小指の間、水かきの近位陥凹部、赤白肉際。 薬指の痛みや麻痺、眩暈、乗り物酔い、耳鳴り
TE3 中渚 ちゅうしょ 手背、第4・第5中手骨間、第4中手節関節近位の陥凹部。 三焦経の兪穴指の神経痛及び麻痺、発汗、のぼせ、眩暈
TE4 陽池 ようち 手関節後面、〔総〕指伸筋腱の尺側陥凹部、手関節背側横紋上。
注1:第4・第5中手骨間隙を擦上すると、触れることができる。陽(LI5)、陽谷(SI5)と同じ高さにある。
注2:抵抗に抗して手関節を伸展すると、〔総}指伸筋腱はより触れやすい。
禁灸穴、子宮の位置矯正、腸間膜神経痛、つわり、手根関節炎及びリウマチ、上肢神経痛
TE5 外関 がいかん 前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、手関節背側横紋の上方2寸。
注:陽池(TE4)の上方2寸で橈骨と尺骨の間の陥凹部にある。外関(TE5)に対応する前側の経穴は内関(PC6)である。
手根関節炎、腕関節の痛み
TE6 支溝 しこう 前腕後面、橈骨と尺骨の間の中点、手関節背側横紋の上方3寸。
注:外関(TE5)の上方1寸で橈骨と尺骨の間、会宗(TE7)と同じ高さにある。
悪寒発熱、呼吸困難、扁桃腺炎、橈骨神経痛、耳鳴り、眩暈
TE7 会宗 えそう 前腕後面、尺骨の橈側縁、手関節背側横紋の上方3寸。
注:支溝(TE6)の尺側にある。
虫垂炎、中耳炎、化膿性疾患
TE8 三陽絡 さんようらく 前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、手関節背側横紋の上方4寸。
注:陽池(TE4)と肘頭を結ぶ線上で、陽池から1/3にある。
禁鍼穴、頭痛
TE9 四瀆 しとく 前腕後面、橈骨と尺骨の間の中点、肘頭の下方4寸。 上歯痛、耳鳴り、偏頭痛、肩背痛、五十肩、腕関節リウマチ、子宮位置異常
TE10 天井 てんせい 肘後面、肘頭の上方1寸、陥凹部。
注:肘を屈曲したとき、肘頭窩にある。
上歯痛、耳鳴り、偏頭痛、肘関節炎
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
TE11 清冷淵 せいれいえん 上腕後面、肘頭と肩峰角を結ぶ線上、肘頭の上方2寸。
注:肘を伸ばし、肘頭の上方2寸にある。
肘関節疾患、尺骨神経痛、偏頭痛、頚痛、上歯痛、耳鳴り、五十肩、寝違い、頸肩腕症候群
TE12 消濼 しょうれき 上腕後面、肘頭と肩峰角を結ぶ線上、肘頭の上方5寸。 上腕神経痛
TE13 臑会 じゅえ 上腕後面、三角筋の後下縁、肩峰角の下方3 寸。 上腕神経痛、五十肩
TE14 肩髎 けんりょう 肩上部、肩峰角と上腕骨大結節の間の陥凹部。
注:肘を曲げ、上腕を外転したときに、肩峰の前後に2つの陥凹部が現れる。肩髃(LI15)は前の陥凹部にあり、後ろの陥凹部より深い。後ろの陥凹部に陽池(TE4)がある。
肩甲関節リウマチ、上肢の神経痛、歯痛、肘関節及び周囲軟部組織障害、五十肩、片麻痺、頚部リンパ節腫脹
TE15 天髎 てんりょう 肩甲部、肩甲骨上角の上方陥凹部。
注:上肢を下垂したとき、肩井(GB21)と曲垣(SI13)の中央にある。
肩こり、上肢の神経痛、後頭通、偏頭痛、高血圧症
TE16 翳風 えいふう 前頸部、耳垂後方、乳様突起下端前方の陥凹部。 中耳炎、耳鳴り、偏頭痛、顔面神経麻痺、歯痛、咽頭炎、耳下腺炎、聴覚神経障害、顎関節障害、寝違え、項強、片麻痺
TE17 瘈脈 けいみゃく 頭部、乳様突起の中央、翳風(TE17)と角孫(TE20)を結ぶ(耳の輪郭に沿った)曲線上、翳風(TE17)から1/3。 脳充血、偏頭痛
TE18 顱息 ろそく 頭部、翳風(TE17)と角孫(TE20)を結ぶ(耳の輪郭に沿った)曲線上で、翳風(TE20)から2/3。 耳疾患、脳充血、偏頭痛
TE19 角孫 かくそん 頭部、耳尖の当たるところ。
注:耳を前方に折り曲げて、耳尖が頭に触れるところ。
禁鍼穴、眼科疾患、耳疾患、歯疾患、偏頭痛
TE20 耳門 じもん 顔面部、耳珠の切痕と下顎骨の関節突起の間、陥凹部。
注:軽く口を開けて耳珠上の切痕の前にできる陥凹部で、聴宮(SI19)の直上にある。
中耳炎、耳鳴り、外聴道炎、眼疾患
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
TE21 和髎 わりょう 頭部、鬢髪(もみあげ)の後方、耳介の付け根の前方、浅頭動脈の後方。 眼疾患、結膜炎、トラホーム
TE22 糸竹空 しちくくう 頭部、眉毛外端の陥凹部。
注:瞳子髎(GB1)の直上にある。
三叉神経痛、涙腺炎

足の少陽胆経

胆は決断の腑

「中正(不偏で公正)の官」と呼ばれ、優れた決断はここで下される。つまり、すべての人の胆力と識見は胆から生ずるものとしている。

胆は胆汁を貯蔵・排泄する

でつくられた胆汁を貯蔵・排泄することにより、脾・胃の消化吸収を助ける働きがある。胆は腑の中で唯一、貯蔵の機能をもつと考えられている。

病証

是動病:口が苦い、よくため息をつく、側胸部が痛んで寝返りができない、ひどくなると顔色がくすみ、カサカサして艶がない、足の外側の
所生病:経脈走行上(頭角から額・目尻・鎖骨上窩・腋窩)の痛み、頸の腫脹、胆経の経脈にある関節の痛み、足の第4指(趾)の麻痺

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
GB1 瞳子髎 どうしりょう 頭部、外眼角の外方0.5寸、陥凹部。 眼疾患、結膜炎、三叉神経痛
GB2 聴会 ちょうえ 顔面部、耳介切痕と下顎骨関節突起の間、陥凹部。
注:口を開いたとき、時間切痕前方の陥凹部にある。
中耳炎、外耳炎、耳鳴り、下顎関節炎、三叉神経痛
GB3 上関 じょうかん 頭部、頬骨弓中点上縁の陥凹部。
注:頬骨弓上縁の陥凹部で、下関(ST7)の直上にある。
眼病、顔面神経麻痺、三叉神経痛
GB4 頷厭 がんえん 頭部、頭維(ST8)と曲鬢(GB7)を結ぶ(側頭の髪際に沿った)曲線上、頭維(ST8)から1/4。 眼疾患、上歯痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺、偏頭痛
GB5 懸顱 けんろ 頭部、頭維(ST8)と曲鬢(GB7)を結ぶ(側頭の髪際に沿った)曲線上の中点。 眼疾患、三叉神経痛、顔面神経麻痺、偏頭痛
GB6 懸釐 けんり 側頭前髪際と側等下髪際の接点の下1寸(通称こめかみの下縁) 三叉神経痛、三角筋肩関節の痛み、上腕神経痛、歯痛、肩こり
GB7 曲鬢 きょくびん 耳の上髪際、耳を前に折り曲げて耳の先が当たる処 眼疾患、歯痛、偏頭痛
GB8 率谷 そっこく 頭部、耳尖の直上、髪際の上方1.5寸。
注:角孫(TE20)の上方、髪際を入ること1.5寸、歯をかみ合わせると取りやすい。
目の充血、脳充血、後頸部のこり
GB9 天衝 てんしょう 頭部、耳介の付け根の後縁の直上、髪際の上方
2寸。
注:率谷(GB8)の後方0.5寸にある。
偏頭痛、眩暈、脳充血
GB10 浮白 ふはく 頭部、乳様突起の後上方、天衝(GB9)と完骨(GB12)を結ぶ(耳の輪郭に沿った)曲線上、天衝(GB9)から1/3。
注:耳尖の後方で、耳後髪際に入ること1寸。
偏頭痛、眩暈、脳充血、耳疾患
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
GB11 竅陰
(頭)
きょういん 頭部、乳様突起の後上方、天衝(GB9)と完骨(GB12)を結ぶ(耳の輪郭に沿った)曲線上、天衝(GB9)から2/3。 難聴、耳鳴り、頭・目の痛み全般、偏頭痛、めまい
GB12 完骨 かんこつ 前頭部、乳様突起の後上方、陥凹部。 偏頭痛、眩暈、脳充血、頚硬直、難聴、不眠症、顔面神経麻痺、肩こり
GB13 本神 ほんしん 頭部、前髪際の上0.5寸。正中線の外方3寸。
注:神庭(GV24)と頭維(ST8)を結ぶ(前髪際に沿った)曲線上で、神庭(GV24)から2/3にある。
頭痛、眩暈、顔面神経麻痺、てんかん
GB14 陽白 ようはく 頭部、眉の上方1寸、瞳孔線上。 眼疾患、三叉神経痛、前頭痛
GB15 臨泣
(頭)
りんきゅう 頭部、前髪際から入ること0.5寸、瞳孔線上。
注:正視して瞳孔中央の上方、神庭(GV24)と頭維(ST8)を結ぶ(前髪際に沿った)曲線上の中点。
禁灸穴、眼病
GB16 目窓 もくそう 頭部、前髪際がら入ること1.5寸、瞳孔線上。
注:頭臨泣(GB15)の上方1寸にある。
涙目、赤面症、三叉神経痛
GB17 正営 しょうえい 頭部、前髪際から入ること2.5寸、瞳孔線上。
注:頭臨泣(GB15)かの上方2寸にある。
偏頭痛、癇癪、胃酸過多
GB18 承霊 しょうれい 頭部、前髪際から入ること4寸、瞳孔線上。
注:正営(GB17)の後方1.5寸で、通天(BL7)と同じ高さにある。
禁鍼穴、側頭部痛、胃酸過多、肝臓疾患
GB19 脳空 のうくう 頭部、外後頭隆起上縁と同じ高さ、風池(GB20)の直上。
注:脳戸(GV17)と玉枕(BL9)と同じ高さにある。
頭痛、後頭神経痛
GB20 風池 ふうち 前頭部、後頭骨の下方、胸鎖乳突筋と僧帽筋の起始部の間、陥凹部。
注:風府(GV16)と同じ高さにある。
頭痛、偏頭痛、感冒、脳充血、脳溢血の予防、蓄膿症、視力減退、乱視、肩こり、めまい、耳鳴、頚部筋肉痛、発熱、片麻痺り、背部痛
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
GB21 肩井 けんせい 後頸部、第7頸椎曲突起と肩峰外縁を結ぶ線上の中点。 禁鍼穴、目眩、頭痛、背肩疼痛、五十肩、上腕神経痛、胃疾患、肝疾患、心疾患、後頭部痛、頚腕障害、過労、のぼせ
GB22 淵腋 えんえき 側胸部、第4肋間、中腋窩線上。 禁灸穴、気管支炎、胸膜炎、肋間神経痛
GB23 輒筋 ちょうきん 側胸部、第4肋間、中腋窩線の前方1寸。 気管支炎、肋膜炎、肋間神経痛
GB24 日月 じつげつ 前胸部、第7肋間、前正中線の外方4寸。
注1:乳頭中央の直下で、期門(LR14)の1肋骨間にある。
注2:女性では、鎖骨中線と第7肋間の好転にある。
禁灸穴、胆嚢及び胆道疾患、肋膜炎、肋間神経痛
GB25 京門 けいもん 側腹部、第12肋骨端下縁。
注:側臥し肩関節を挙上して定める。第12肋骨端は、後腋窩線の後方で肋骨弓下縁の下方で触れる。
腎臓疾患、腰痛、神経衰弱、胃痙攣、慢性胃腸疾患、膀胱疾患、男女生殖器疾患
GB26 帯脈 たいみゃく 側腹部、第11肋骨端下方、臍中央と同じ高さ。
注1:最初に第10肋骨を探り、肋骨弓下線の直下に位置する第11肋骨端を探す。
注2:章門(LR13)の下方で、神闕(CV8)と同じ高さにある。
帯下、腰痛、下腹痛、腰部冷感
GB27 五枢 ごすう 下腹部、臍中央の下方3寸、上前腸骨棘の内方。
注:帯脈(GB26)の下方で、関元(CV4)と同じ高さにある。
男子生殖器疾患、婦人病、側腹痛、腰痛
GB28 維道 いどう 下腹部、上前腸骨棘の内下方0.5寸。
注:五枢(GB27)の内下方0.5寸にある。
嘔吐、腹水、腸疝痛、大腸炎、男女生殖器疾患
GB29 居髎 きょりょう 殿部、上前腸骨棘と大転子の頂点の中点。 腸骨窮鼠神経痛、嘔吐、腹水、男女生殖器疾患
GB30 環跳 かんちょう 殿部、大転子の頂点と仙骨裂孔を結ぶ線上、大転子の頂点から1/3。
別説:
大腿部、大転子の頂点と上前腸骨棘の間、大転子の頂点から1/3。
注:側臥し、股関節を屈曲すると取穴しやすい。
坐骨神経痛、外側大腿皮神経痛、下肢の不随、股関節炎、大腿部運動障害、股関節痛、腰痛、下腹部の麻痺、坐骨神経痛、臀痛、片麻痺、下肢の知覚・運動障害
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
GB31 風市 ふうし 大腿部外側、直立して腕を下垂し、手掌を大腿部に付けたとき、中指の先端があたる腸脛靱帯の後方の陥凹部。
注:やや膝を屈し、抵抗に抗して股関節を外転すると腸脛靱帯が現れる。
半身不随、下肢の無力感、掻痒、皮膚病、片麻痺、下肢外側痛、下肢のしびれ
GB32 中瀆 ちゅうとく 大腿部外側、腸脛靱帯の後方で、膝窩横紋の上方7寸。 坐骨神経痛、外側大腿皮神経痛、腰痛、脚気
GB33 膝陽関 ひざようかん 膝外側、大腿二頭筋腱と腸脛靱帯の間の陥凹部、大腿骨外側上顆の後上縁。 膝関節炎、リウマチ、外側大腿皮神経痛
GB34 陽陵線 ようりょうせん 下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部。 坐骨神経痛、腓骨神経痛、腰痛、脚気、帯下、筋肉性疾患、偏頭痛、三叉神経痛、小児麻痺、腰痛、片麻痺、膝関節障害、下肢の知覚・運動障害
GB35 陽交 ようこう 下腿外側、腓骨の後方、外果尖の上方7寸。
注:外果尖と膝窩横紋外端を結ぶ線上の中点の下方1寸で、外丘(GB36)の後方にある。
腓骨神経痛
GB36 外丘 がいきゅう 下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方7寸。
注:外果尖と膝窩横紋外端を結ぶ線上の中点下方1寸で、陽交(GB35)の前方にある。
頚項強、肋膜炎、坐骨神経痛
GB37 光明 こうめい 下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方5寸。 眼の炎症、瞼の下垂
GB38 陽輔 ようほ 下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方4寸。 脚気、足背痛、足関節炎
GB39 懸鐘 けんしょう 下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方3寸。 足背神経の神経痛及び麻痺、脚気、小児麻痺、足関節捻挫
GB40 丘墟 きゅうきょ 足関節前外側、長指伸筋外側の陥凹部。
注:抵抗に抗して足の第2指から第5指を伸展させると、長指伸筋腱が明瞭に現れる。
足関節捻挫、足関節炎、呼吸器・消化器・目の病気、頚項痛、下腿の軟弱無力、外果腫脹・疼痛
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
GB41 臨泣
(足)
りんきゅう 足背、第4・第5中足底接合部の遠位、第5指の長指伸筋腱外側の陥凹部。 坐骨神経痛、足関節の腫れまたは捻挫、足底痛、頭部・心臓・胃・胆嚢・乳房・子宮の痛み、足背痛、眼の疾患、めまい
GB42 地五会 ちごえ 足背、第4・第5中足骨間、第4中足指節関節遠位の陥凹部。 胆石疝痛、月経痛
GB43 侠谿 きょうけい 足背、第4・第5指間、水かきの近位、赤白肉際。 めまい、足の背痛または浮腫、坐骨神経痛、腓骨神経痛
GB44 竅陰
(足)
きょういん 足の第4指、末節骨外側、爪甲角の近位外方0.1寸(指寸)、爪甲外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点 胆経の井穴

足の厥陰肝経

肝は思惟(深く考えること)の中枢

「将軍の官」と呼ばれ、外敵(病邪)を防ぐ一切の思慮、計謀をつかさどる。つまり、肝は思惟活動の中心であり、人が思考思索をめぐらすことのできるのは肝のためである。

肝は疏泄そ せつをつかさどる(気機を調節)

は、気が広がって移動して行く機能(疏泄)がある。気は、体内を上ったり下りたり、組織に入ったり出たりしている。このような気の動き(気機)を肝が調節している。

肝は蔵血をつかさどる

は血を貯蔵し、体の血量を調節する働き(蔵血)がある。
肝は過度の怒が起こると、正常な働きができなくなる。

病証

是動病:腰痛で身体を倒したり反らすことができない。男子は疝気せんき(睾丸が腫れ痛む)、女子は下腹部が腫れ腰が痛む。激しいときは顔色がすすけて青黒くなる。
所生病:胸満(胸のふさがり)、嘔吐、不消化便を下す、遺尿(無意識な尿漏れ)・尿閉(小便が出ない)

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
LR1 大敦 だいとん 足の第1指、末節骨外側、爪甲角の近位外方0.1 寸(指寸)、爪甲外側の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。 心痛、卒倒、癇癪、ショック、ひきつけ、尿道炎、睾丸炎、子宮出血、疝痛
LR2 行間 こうかん 足背、第1・第2指間、水かきの近位、赤白肉際。 足底痛、通風、拇指麻痺、急性痙攣、逆上を引き下げる
LR3 太衝 たいしょう 足背、第1・第2中足骨間、中足骨底接合部遠位の陥凹部、足背動脈拍動部。
注:第1・第2中足骨間を長足骨底部に向かって擦上したときに、陥凹部にある。
肝臓疾患、足底痛、生殖器・消化器・呼吸器の疾患、腰部・下腹部・側腹部・胸部の痛み、引きつけ、眼病、のぼせ、めまい、不眠症、生理不順、生理痛、足背痛、片麻痺
LR4 中封 ちゅうほう 足関節前内側、前脛骨腱内側の陥凹部、内果尖の前方。
注:商丘(SP5) 、解(ST41)の中央にある。
足関節炎、通風、突発性腰痛、胃酸過多、胆石症、膀胱炎
LR5 蠡溝 れいこう 下腿前内側、腓骨内側面の中央、内果尖の上方5寸。
注:膝蓋骨尖と内果尖を結ぶ線上で、内果尖から 1/3、腓骨内装面の中央、築賓(KT9)と同じ高さにある。
睾丸炎、月経不順、帯下、陰部掻痒症、陰萎
LR6 中都 ちゅうと 下腿前内側、腓骨内側面の中央、内果尖の上方7寸。
注:膝蓋骨尖と内果尖を結ぶ線上の中点の下方0.5寸で腓骨内側面の中央にある。
睾丸炎、月経不順
LR7 膝関 しつかん 下腿脛骨面、脛骨内側顆の下方、陰稜泉(SP9) の後方1寸。 膝関節炎、リウマチ
LR8 曲泉 きょくせん 膝内側、半腱・半幕様筋腱内側の陥凹部、膝窩横紋の内側端。
注:膝を屈曲し、膝窩横紋の内側端で最も明らかに触れる腱の内側陥凹部にある。
膝関節炎、膝関節リウマチ、尿道炎、膀胱炎、腹膜炎、婦人科疾患、泌尿器疾患
LR9 陰包 いんぽう 大腿部内側、薄筋と縫工筋の間、膝蓋骨底の上方4寸。
注:股関節をやや屈曲、外転させ、筋を緊張させると、縫工筋がより明瞭になる。縫工筋の後方にある。
膝関節の痛み
LR10 足五里 あしごり 大腿部内側、気衝(ST30)の下方3寸、動脈拍動部。 禁鍼穴、緑内障、網膜炎、動脈硬化症
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
LR11 陰廉 いんれん 大腿部内側、気衝(ST30)の下方2寸。
注:長内転筋の外方にある。膝関節を屈曲し股関節をやや屈曲外転させて、抵抗に抗して大腿を内転させるとき、長内転筋はより明瞭に現れる。
睾丸炎、精系神経痛
LR12 急脈 きゅうみゃく 鼡径部、恥骨結合上縁と同じ高さ、前正中線の外方2.5寸。 睾丸炎、淋病、外陰炎
LR13 章門 しょうもん 側腹部、第11肋骨端下方。
注:側臥し、肩関節を屈曲して定める。第11肋骨端は肋骨弓下縁の下方に触知できる。
脾臓疾患、胃下垂、胃痛、肝臓肥大、腹水の治療、肋間神経痛、腎炎
LR14 期門 きもん 前胸部、第6肋間、前正中線の外方4寸。
注:乳頭中央の下方、不容(ST19)の外方2寸。女性では鎖骨中線と第6肋間の交点にある。
肝胆疾患、肋膜炎、肋間神経痛、胃十二指腸疾患、ノイローゼ、横隔膜痙攣

督脈

督脈は陽経を統括する

「督脈」の「督」には総監督の意味がある。頭、項、背部の正中線を運行し、6本の陽経脈(胆・小腸・三焦・胃・大腸・膀胱)と大椎(GV14)で交差して陽経脈を調整、監督している。このため、督脈は「陽脈の海」と呼ばれる。また督脈は脳に属し、腎と連絡している。腎、髄、脳の関係から、督脈は脳や脊髄の生理、病理を反映し、さらに脳、脊髄と生殖器官とを相互に連携させている。

病証

背部のこわばり、頭痛、足の冷えや痛み、痔腹部から胸までの突き上げるような痛み、心部痛、むくみ、遺尿、不妊(女性)

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
GV1 長強 ちょうきょう 会陰部、尾骨の下方、尾骨端と肛門の中央。
注:伏臥位か膝胸位にする。
痔疾患、精神病の発作、癇癪、遺尿、慢性腎炎
GV2 腰兪 ようゆ 仙骨部、後正中線上。
注:仙骨裂孔は殿裂の直上の小陥凹部にある。
腰痛等腰部疾患、夜尿症、痔疾、膀胱麻痺、月経不順、月経痛
GV3 腰陽関 こしようかん 腰部、後正中線上、第4腰椎棘突起の下方の陥凹部。
注1第4腰椎棘突起は町側の腸骨稜最高点を結ぶ線の中点にある。
下肢の疾患、推間板ヘルニア、腰痛、遺尿症、膀胱炎、前立腺炎、膀胱麻痺
GV4 命門 めいもん 腰部、後正中線上、第2腰痛棘突起下方の陥凹部。 リウマチ、副腎機能低下、腰痛、腰椎カリエス、腹膜炎、下肢麻痺、痔出血、精力減退
GV5 懸枢 けんすう 腰部、後正中線上、第1腰椎棘突起下方の陥凹部。 腰痛、脊椎カリエス、消化不良、下痢
GV6 脊中 せきちゅう 上背部、後正中線上、第11胸椎棘突起下方の陥凹部。 禁灸穴、脊椎炎、脊椎カリエス、黄疸、てんかん、痔疾患、糖尿病
GV7 中枢 ちゅうすう 上背部、後正中線上、第10胸椎棘突起下方の陥凹部。 小児疳症、神経性食道痙攣
GV8 筋縮 きんしゅく 上背部、後正中線上、第9胸椎棘突起下方の陥凹部。 筋肉の弛緩、神経疾患
GV9 至陽 しよう 上背部、後正中線上、第7胸椎棘突起下方の陥凹部。
注:第7胸椎棘突起は、後正中線上と肩甲骨下縁の水平線の交点にある。
腎熱、頭重、頭痛、ヒステリーなどの神経症状の沈静、胃疾患
GV10 霊台 れいだい 上背部、後正中線上、第6胸椎棘突起下方の陥凹部。 禁鍼穴、喘息、気管支炎、肋膜炎、肋間神経痛、胸痛、小児喘息
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
GV11 神道 しんどう 上背部、後正中線上、第5胸椎棘突起下方の陥凹部。 禁鍼穴、神経性疾患の治穴、肋間神経痛
GV12 身柱 しんちゅう 上背部、後正中線上、第3胸椎棘突起下方の陥凹部。
注:第3胸椎棘突起下方の陥凹部は、後正中線と肩甲棘内端の水平線の交点にある。
全ての神経性疾患、呼吸器系疾患、小児疾患、疲労回復
GV13 陶道 とうどう 上背部、後正中線上、第1胸椎棘突起下方の陥凹部。 脳神経系疾患による症状、風邪、感冒、頭重、眩暈
GV14 大椎 だいつい 後頭部、後正中線上、第7頸椎棘突起下方の陥凹部。
注1:座位で頸部を中間位に保ったとき、後頸部で最も突出しているのが第7頸椎棘突起である。頸部の前屈により第7頸椎棘突起を触知しやすい。
注2:頸部を軽く前屈し頸部を回旋するとm第7頸椎のわずかな回旋を触れる。
頚硬直、咽頭痛、扁桃腺炎、脳溢血、脳膜炎、精神病、痔疾患、上肢痛
GV15 瘂門 あもん 後頸部、後正中線上、第2頸椎棘突起上方の陥凹部。
注:風府(GV16)の下方0.5寸にある。
禁灸穴、禁鍼穴、言語障害、鼻血、ひきつけ、頭痛
GV16 風府 ふうふ 後頸部、後正中線上、外後頭隆起の直下、左右の僧帽筋間の陥凹部。
注:径上尾軽く後屈させた状態で、僧帽筋の緊張を緩め、後髪際中点から後頭骨に向かって擦上したところの陥凹部に取る。
風邪、鼻疾患、血圧亢進症、運動神経麻痺、脳疾患、頭痛、ノイローゼ
GV17 脳戸 のうこ 頭部、外後頭骨隆起上方の陥凹部。
注:後正中線の垂線と外後頭隆起上縁の水平線の交点にある陥凹部、玉枕(BL9)と同じ高さに取る。
禁鍼穴、脳充血や三叉神経痛による顔面の痛み、神経痛、脳貧血、頭重、のぼせ
GV18 強間 きょうかん 頭部、後正中線上、後髪際の上方4寸。
注:脳戸(GV17)の上方1.5寸にある。
てんかん、高血圧、低血圧などによる症状(項部のこり、嘔吐、頭痛、眩暈)
GV19 後頂 ごちょう 頭部、後正中線上、後髪際の上方5.5寸。
注:百会(GV20)の後方1.5寸にある。
脳疾患、頂部のこり、冷や汗、不眠症、頭痛、頭重、嘔吐、眩暈
GV20 百会 ひゃくえ 頭部、前正中線上、前髪際の後方5寸。
注1:前髪際と後髪際を結ぶ線上の中点の前方1寸にある陥凹部。
注2:耳を折り返したとき、両耳尖を結ぶ線の中点にある。
脳充血、脳出血、血圧亢進症、不眠症、神経衰弱、頭痛、鼻疾患、脱肛、痔核、精神病、目眩、鼻づまり、失語症、テンカン、不眠、高血圧、内臓下垂、脱毛の予防
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
GV21 前頂 ぜんちょう 頭部、前正中線上、前髪際の後方3.5寸。
注:百会(GV20)と顖会(GV22)の中点にある、
血圧亢進、眩暈
GV22 囟会 しんえ 頭部、前正中線上、前髪際の後方2寸。(顖会) 禁鍼穴、迷走神経の過緊張に効く。嘔吐、神経衰弱、頭重、低血圧症、鼻詰り
GV23 上星 じょうせい 頭部、前正中線上、前髪際の後方1寸。 肥厚性鼻炎、鼻茸、眼窩上神経痛、精神病、頭痛、眩暈、鼻出血、脳貧血、脳充血
GV24 神庭 しんてい 頭部、前正中線上、前髪際後方0.5寸。
注:前髪際がはっきりしないか変化している場合は、眉間の中点上方3.5寸にある。
禁鍼穴、癲癇、人事不省、蓄膿症
GV25 素膠 そりょう 顔面部、鼻の尖端。 禁灸穴 鼻詰り、喘息、鼻出血、顔面神経麻痺
GV26 水溝 すいこう 顔面部、人中溝の中点。
別説:
顔面部、人中溝の上から1/3。
癇癪、発狂、顔面神経麻痺、てんかん、糖尿病、ひきつけ、腰・背部の痛み、上歯痛、顔面神経痛、三叉神経痛、失神
GV27 兌端 だたん 顔面部、上唇結節の上縁の中点 三叉神経痛、糖尿病、鼻出血、黄疸、痔疾患
GV28 齦交 ぎんこう 顔面部、上歯齦、上唇小帯の接合部。
注:上唇をあげ、上唇小帯と歯齦の移行部にある。
鼻疾患、眼疾患、黄疸、項頚痛

任脈

任脈は陰経を統括する

「任脈」の「任」には、総担任の意味があるの前面の正中線を運行し、足の3本の陰(脾・腎・肝)と下腹部で交差し、左右両側経脈を相互に連係させて、全身の陰経脈心・心包・脾・肺・腎)を調整している。この任脈は「陰脈の海」と呼ばれる。また、任脈の「任」は「妊」に通じ、月経や妊娠に関係する。

病証

疝気せんき※1帯下たいげ※2、月経異常、腹部皮膚の痛みやかゆみ

※1疝気:男性の下腹部から睾丸にかけて起こる激痛
※2帯下:女性において腟内から出る粘液のことで「おりもの」「こしけ」と呼ばれ、正常では無色透明・無臭で量は少ない。量・色・臭いに異常がある場合は「帯下病」と呼ばれる病である。

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
CV1 会陰 えいん 会陰部、男性は陰経根部と肛門を結ぶ線の中点、女性は後陰唇交連と肛門を結ぶ線の中点。
注:側臥位あるいは膝胸位で、肛門と外生殖器の中央にある。
禁鍼穴、慢性痔疾、肛門周囲炎、陰痛
CV2 曲骨 きょくこつ 下腹部、前正中線上、恥骨結合上縁。 泌尿器疾患、生殖器疾患、尿道炎、膀胱炎、膀胱麻痺、前立腺肥大、夜尿症
CV3 中極 ちゅうきょく 下腹部、前正中線上、臍中央の下方4寸。 膀胱及び生殖器疾患、婦人科疾患、夜尿症、精力減退
CV4 関元 かんげん 下腹部、前正中線上、臍中央の下方3寸。 小腸疾患、泌尿器疾患、消化不良、月経不調、腹膜炎、子宮内膜炎、月経痛、下腹痛
CV4 石門 せきもん 下腹部、前正中線上、臍中央の下方2寸。 婦人禁灸穴、(不妊のおそれ有)婦人科疾患、泌尿器疾患、男子生殖器疾患、消化不良
CV6 気海 きかい 下腹部、前正中線上、臍中央の下方1.5寸。 腸疾患、慢性腹膜炎、腎臓、膀胱、神経衰弱、夜尿、男女生殖器疾患、腰痛、夜尿症
CV7 陰交 いんこう 下腹部、前正中線上、臍中央の下方1寸。 腎臓炎、腹膜炎、慢性下痢、生殖器疾患、坐骨神経痛、胃腸疾患、帯下、消化不良
CV8 神闕 しんけつ 上腹部、臍中央。 禁鍼穴、慢性消化器疾患、脱肛、便秘、腹痛、食欲減退、全身の倦怠感
CV9 水分 すいぶん 上腹部、前正中線上、臍中央の上方1寸。 禁鍼穴、胃内停水、胃下垂、小便不利、腎臓炎、下痢、水瀉性下痢、遺尿症
CV10 下脘 げかん 上腹部、前正中線上、臍中央の上方2寸。 腎臓疾患、男女生殖器疾患、腸疾患、下肢疾患
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
CV11 建里 けんり 上腹部、前正中線上、臍中央の上方3寸。 胃潰瘍、胃下垂、腎臓疾患、男女生殖器疾患、腸疾患、下肢の疾患
CV12 中脘 ちゅうかん 上腹部、前正中線上、臍中央の上方4寸。
注:胸骨体下端と臍中央との中点にある。
全ての胃疾患、糖尿病、子宮位置異常の矯正、肝臓や胆嚢の疾患
CV13 上脘 じょうかん 上腹部、前正中線上、臍中央の上方5寸。 胃痛、胃痙攣、胃潰瘍、胃酸過多、胃炎、神経性心悸亢進症、喘息、眩暈、肋間神経痛
CV14 巨闕 こけつ 上腹部、前正中線上、臍中央の上方6寸。 心臓疾患、呼吸器疾患、胃酸過多症、胃痙攣、喘息、食堂狭窄、神経痛
CV15 鳩尾 きゅうび 上腹部、前正中線上、胸骨体下端の下方1寸。 禁灸穴、禁鍼穴、頭痛、咽頭痛、胃痛、心疾患、神経症
CV16 中庭 ちゅうてい 前胸部、前正中線上、胸骨体下端の中点。 食道炎、胃酸過多症、心臓病、喘息
CV17 膻中 だんちゅう 前胸部、前正中線上、第4肋間と同じ高さ。 禁鍼穴、心筋梗塞、狭心症、肋膜炎、神経性血圧亢進、全ての気の病、乳房痛、背痛
CV18 玉堂 ぎょくどう 前胸部、前正中線上、第3肋間と同じ高さ。 心臓疾患、呼吸器疾患、嘔吐
CV19 紫宮 しきゅう 前胸部、前正中線上、第2肋間と同じ高さ。 呼吸器疾患、食道狭窄
CV20 華蓋 かがい 前胸部、前正中線上、第1肋間と同じ高さ。 肺の治穴肺疾患、呼吸器疾患
経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の効果
CV21 璇璣 せんき 前胸部、前正中線上、胸骨上窩の下方1寸。
注:天突(DV22)の下方1寸にある。
呼吸器疾患
CV22 天突 てんとつ 前頸部、前正中線上、胸骨上窩の中央。
注:左右の鎖骨内端間の中央陥凹部にある。
喘息、気管支炎、咽頭炎
CV23 廉泉 れんせん 前頸部、前正中線上、咽頭隆起上方。舌骨の上方陥凹部。 咽頭炎、扁桃腺炎、舌骨筋麻痺
CV24 承漿 しょうしょう 顔面部、頤(オトガイ)唇溝中央の陥凹部。 顔面神経麻痺、三叉神経の下顎神経痛、下歯痛、顔面浮腫、構音障害

奇穴

経穴名 よみ 経穴の位置 経穴の位置

Ex-HN1

四神聡 しそうしん 部位:百会(GV20 督脈)を中心に前後左右それぞれ1寸もしくは2.5寸の4穴とされるが、現代の文献の多くは百会から各1寸4穴とする
Ex-HN2 当陽 とうよう 部位:瞳孔の直上で、前髪際から1寸入ったところ
備考:頭臨泣(GB15・胆経)の0.5寸上